トリッカーズのカントリーが日本人のオシャレの幅を広げた!?
英国伝統の硬派な靴がやがてファッションに!
それ以前にもビームスの別注などで日本に入っていましたが、トリッカーズの名前が知られるようになったのは、マーガレット・ハウエルがトリッカーズとのWネームで展開したカントリーブーツがきっかけとGMTの社長である横瀬さんは話します。
「1985年のことです。ボクが当時在籍したWFGがそのWネームモデルの輸入代行をしたのでよく覚えているんです。こんなに迫力ある佇まいの英国ブーツ、日本で果たしてウケるだろうかと心配になりましたが(笑)、一部の洒落者に熱烈に支持されたんです」。
やがてポール・スミスもスーツにカントリーを合わせるスタイルを提案し、一層人気に拍車が。当時ホーキンスやドクターマーチンがブームで、トリッカーズはそれら英国カジュアルブーツの最高峰として認知されていったそうです。
「ガシッと無骨なスタイルはアメカジとの相性もよく、レッド・ウィングやチペワを扱う靴店、あるいは福岡のハリーズのように骨太な服を扱うお店も軒並み興味を持つように。正直トリッカーズは、アメカジ一辺倒だった日本人が英国やヨーロッパのものに目を向ける契機にもなったと思います」。
’90年代以降トリッカーズは一層人気を拡大しますが、その過程ではユニオンワークスの中川さんや、僭越ながら(汗)小誌の貢献度も大きいと語ってくれました。
「高価な靴ゆえ、シューリペアの観点からいろんな媒体でトリッカーズの頑丈さを伝えてくれた中川さんの存在はありがたかったですね。
そしてビギンは歴史や蘊蓄、ファッション対応力などディープに魅力を伝えてくれた。そうした刷り込みのおかげで、トリッカーズは日本に紹介される英国靴の中で独自の地位を築けたと感じています」。
トリッカーズの快進撃を最も間近で眺めてきました!
GMT 社長
横瀬秀明さん
1965年生まれ。ワールド・フットウェア・ギャラリー(WFG)を経て、’94年にトリッカーズなどのインポートを行うGMTを創業。
ボリュームがありながらも低めのトウ
Tricker’s[トリッカーズ]
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トリッカーズを代表するカントリーブーツ「M2508」。ぶ厚いダブルソール、無骨なストームウェルト、迫力満点のメダリオンなどで、足元で唯一無二の存在感を放つ名作だ。7万7000円。
不変の顔は常にコーデのスタメン
【BASIC】今も昔も安定の王道ブリティッシュコーデ
クラシックな英国アイテムを使ったコーデにカントリーは鉄板! バブアーのジャケット5万5000円。(バブアー 渋谷店)ジョン スメドレーのニット3万3000円。(リーミルズエージェンシー)リーバイス®メイド アンド クラフテッド®のジーンズ1万6000円。(リーバイ・ストラウス ジャパン)


【NOW】ハイテクシェルにもOKのフトコロの深さ
スポーティな高機能アウターを使った今どきのMIXコーデも、足元にカントリーを合わせれば大人っぽく引き締まり、洒落度もアップ。カリマーのジャケット2万1000円。(カリマーインターナショナル)アトリエアンドリペアーズのシャツ2万6000円、ニートのパンツ3万3000円。(以上、にしのや)


右[Dark Brown]/「M2508」はオレンジのシーシェイドアッパーのイメージが強いが、ダークブラウンならぐっと大人っぽい雰囲気。
中[Brown]/モンキーブーツデザインのミッドカットモデル「M6077」。アッパーはスエードレザーで、ソールはグリップ力に定評のあるダイナイトソールを採用。ラストは比較的ナローな5402Rだ。
左[Black]/サイドゴアで脱ぎ履き楽チンなカントリーブーツ。こちらもブランドの超定番。ややゆったりめのラスト4444採用。各7万7000円。
Tricker’sがよ~くわかる解説
1984年頃トリッカーズは同店のオリジナル靴をノンネームでOEM生産。バンプスリッポンやジョッパーズなどを展開していた。
■福岡のハリーズのように骨太な服を扱うお店
ハリーズは米国製品を主体に扱っていたが、’90年代以降トリッカーズを看板商品の一つに。福岡にトリッカーズ信者を増殖させた。
■日本人が英国やヨーロッパのものに目を向ける契機に
バブアーやラベンハム、ツイードジャケットなどの英国アイテムをアメカジに取り込むMIXスタイルが流行りだしたのもこの頃。
■ユニオンワークスの中川さん
凄腕のシューリペアラー。トリッカーズの大ファンで、愛用する年季の入ったカントリーはたびたびビギンの誌面を飾ってきた。
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。