

絶妙なタッチが必要なスエード靴の仕上げ
靴作りにおけるフレーミングとは、スエードアッパーの毛羽立ちを取り除くこと。「flaming」の呼び名からも想像できるように火を使う作業で、直火でアッパーの革を炙りスエードの毛足を整えていく技術である。これはスエード靴ならではの深みのある表情に仕上げる最終工程であり、さらに直接火にかざすので責任も重大。もちろん炙りすぎると台無しなので、職人の繊細で絶妙なタッチが要求される。
高級帽子の代名詞であるボルサリーノのラビットファーハットも、一点一点直火によって毛足を整えることで有名だが、靴では英国の老舗、「クロケット&ジョーンズ」。職人が一足一足を丁寧に仕上げ、その仕上がりはカジュアルなスエード靴とは全くの別物。ヌバックと見違えるようなきめ細かい表情はお見事である。

ちょっとでも長く火を掛けてしまうと革を傷めて靴自体が台無しになってしまうため、熟練された職人技術が必要となり、その仕上がりは、まさに“美靴”と呼ぶに相応しい。

スエードとはいえカジュアルな印象は微塵もなく、スマートな木型とも相性抜群だ。クロケット&ジョーンズ「サヴィル」
※本記事に掲載されている商品の仕様などの情報は、原則として2012年Begin9月号の特集に掲載された当時の情報となります。現在の仕様や情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
