


革小物の表情をキリッと引き締める超絶仕上げです
日本の革小物職人の技術の高さは折り紙付きだが、その要因のひとつに、江戸時代の袋物などの技術が活かされているとの見方も。
たとえば、革の切り目にフノリや染料を塗って磨き上げる本磨きがそうだし、墨塗りもまた、こうした日本の伝統技術なのだ。これはコバと、それと平行して施された念とのわずかな隙間を染料で縁取りする仕上げ。素人目には簡単にも見えるが、じつはすこぶる難度の高い職人技だ。
じつは、この墨塗り。革小物の世界では「GANZO」の”アルトゥーラカーフ”シリーズを製作する工房の門外不出の技術なのだ。本磨きの切り目と念との隙間に施され、独特の細かいシボに干渉されることなく、同工房の熟練が描く完璧な直線は、まさに神業と呼ぶにふさわしい。

↑コバと念との隙間に墨塗りが見える。

水シボが施されたGANZO「アルトゥーラ カーフ」の長財布。W19×H9cm。
※本記事に掲載されている商品の仕様などの情報は、原則として2012年Begin9月号の特集に掲載された当時の情報となります。現在の仕様や情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
