ノーサンプトンの名靴たちが品格そのままに実用性を底上げ! ラバーソールの傑作靴4選
品格ムンムンのまま実用性を底上げ
令和を見据えた靴作りに邁進するのはC&Jとトリッカーズだけじゃなし。歴史にあぐらをかかない名門たちがしのぎを削ってるからこそ、ノーサンプトンが靴の聖地と称されてるんです。
なかでもここに集いし四皇たちは、変化を微塵も恐れない歴戦の猛者。なんたって、すでに永世定番の地位を磐石にしてる名靴たちにも、臆すことなくラバーソールを採用。
工芸品的佇まいや、そこはかとな〜く漂う品は、レザーソールの大いなる利点ですが、やっぱり路面状況によっちゃスリッピーだし、履き始めは硬くて馴染むまで時間を要するしと、コンフォートに慣れきった現代人の足には、ちとシビアな側面も。
ラバーソール化はまさに避けられない命題になってましたが、それを核となる格をキープしたまま実現してるってのが名門の凄いとこ。その御技は後述の通り。どれも靴好きにはお馴染みの傑作だけど、通常のレザーソール版と比べても、まったく遜色ない威厳を讃えてるでしょ?
精緻な仕立てがもたらす安定感ある顔つきのまま、機能性だけ向上させてるなんて、どう考えても先発ローテ入り確定。深化と進化を両立させる、名門の真価が凝縮したシン・ラバーソール。値は張りますが見合う価値は確実にありますよ!
じつは……な話付き
シン・ラバーソール傑作に刮目せよ!
Church’s SINCE 1873
[Formal]政治家たちも愛す英国靴の大看板が次世代の着用感に!?
Church’s[チャーチ]
コンサル R2.0
傑作ストレートチップに屈曲性抜群のラバーソールを搭載。クラシックと快適な履き心地を両得した進化版として、2.0の名が冠された。名ラスト「173」を採用。17万6000円※予定価格(チャーチ クライアントサービス)
一説によると19世紀末まで靴は左右対称だったそう。それはおかしくない? と左右非対称に設計した同社の功績は極めて偉大! ちなみにハーフサイズを取り入れたのもここ。
JOHN LOBB SINCE 1886
[Formal]エレガンスと快適性を兼備する新開発ソール
JOHN LOBB[ジョンロブ]
シティⅡ
説明不要の名品に、レザーヒールとラバーソールを融合させた「フレクシーラスプソール」を用いた革新作。天然のラテックスを用いているため、履き始めから柔軟で反りも◎。22万8800円(ジョン ロブ ジャパン)
ビスポークで培ったノウハウを結集させて2001年に誕生。ウエストを絞ることで包み込まれるようなフィット感をもたらしながら、美麗なシルエットも実現させた超名ラスト。
EDWARD GREEN SINCE 1890
[Casual]品と機動力を同居させた名シングルモンク
EDWARD GREEN[エドワードグリーン]
イーリング
キメ細かな上質スエード × 伝統の「202E」ラストで、玄人筋から人気を博すシングルモンクに、クッション&屈曲性に優れるラバーソールを採用。不意の雨でも安心♪ 25万9600円(ストラスブルゴ カスタマーセンター)
1940年代から存在し、すべての革靴の基本になったとまで称される伝説的ラスト。インサイドストレート&アウトサイドカーブという、紳士靴の基本形を浸透させた立役者だ。
JOSEPH CHEANY SINCE 1886
[Casual]オンもオフも天候も不問! の秀才ローファー
JOSEPH CHEANEY[ジョセフ チーニー]
ハワード
定番ローファー「ハドソン」と同じ“5203”ラストに、機能的なグレインカーフと歴史深いダイナイトソールを採用し、ストームウェルト仕様で仕立てた全天候型モデル。9万2400円(ブリティッシュメイド 青山本店)
同社のミリタリーモデルにも使われるグレインカーフは、大ぶりなシボ感が特徴。キズにも汚れにも水にも強くて実用性に優れるうえ、渋イイ風合いに育ってくれるのも魅力。
ちなみに
初登場のラバーソールは7万円大とコスパも◎!
BARKER[バーカー]
ペベンシー
第一次大戦時に英国軍用ブーツも手掛けていた名門が、初めて手掛けたラバーソール版のタッセルローファー。聖地生まれなら断然買い得! 7万4800円(ジーエムティー)
What’s Northampton?
ノーサンプトンはなぜ“靴の街”なのか?
[Point1]ピューリタン革命が靴に“サイズ”の概念を与えた
ノーサンプトン靴産業の始祖
オリバー・クロムウェル
1640年代に英国で巻き起こったピューリタン革命の指導者。自軍の機動力向上のため、スリッパ感覚だった靴に“サイズ”の概念を与えつつ、革を積み重ねて“ヒール”も創出し、革靴史を推し進めた。
[Point2]靴産業に適した四大条件が揃う
樫の木
皮を革へと鞣すためのタンニンをたっぷり含みながら、堅くて木型の材料にも適した樫の木が豊富に自生。
タンナー
木と水と牧場に恵まれていた分、中世には多くのタンナーが集っていたとか。残念ながら近年ではほぼ絶滅。
牧場
英国を代表する大都市の中央に位置するため、牛肉の供給基地として牧場が発展し、革の配給も安定することに。
良質な水
牛の飼育や皮を鞣すうえで大量の水が必要となるが、同地にはセーヌ川をはじめ、多数の川から良質な水が。
※表示価格は税込み
[ビギン2025年5月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。