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連載[令和に響く昭和のハナシ]

【昭和オタク・平山雄】再評価が高まりつつあるアナログレコード。今、思い入れが強くなるワケ

レコード

エモさ満点のジャポニズム傑作を知る[令和に響く昭和のハナシ]
昭和を愛し、昭和暮らしを謳歌する平山 雄による、後世に語り継ぎたい名作語り。今回は、サブスク時代の今は珍しいレコードが登場!

Profile
平山 雄さん

昭和ヲタク

平山 雄さん

古物商として働きながら、SNSやブログを通じて昭和をレポート。著書に『昭和ぐらしで令和を生きる』(303BOOKS)など。

手軽に音楽を聴ける今こそ思い入れが強くなるアナログ盤

今の時代は、何か聴きたい音楽があれば、インターネットで探してかんたんに聴くことが出来ます。その曲がいくら古かろうが遠い国の曲だろうが、聴けない曲はほとんどありません。でも、その便利さと引き換えに失ってしまったものがあるような気がします。
 
CDが普及したのは、確か昭和の末頃。音楽にもっとも多感だった当時、僕はもう成人していたので、ほぼアナログレコード世代です。当時はインターネットなんて便利なものはまだまだない時代ですから、何か聴きたい音楽があれば、最寄りの駅前にあるレコード店へ足を運ぶのが当たり前。

ですが、中学生から高校生へと大人になるにつれて、聴く音楽が次第にマニアックになってくると、普通のレコード店ではなかなか手に入らないわけです。そうして、輸入盤専門店や中古レコード店をあちこち巡るような買い方に変わって行きました。

当時は新宿駅の西側に、そういったマニア向けのレコード店が密集していたので、暇さえあればレコード巡り。時には、半日かけて探し回っても収穫がない日もあり、やっとのことで目当てのレコードを見つけた時は、心臓がバクバクするくらい興奮する時もありましたね。

レコード真ん中にはくり抜いてドーナツ盤にできる手裏剣型のパーツ「プッシュアウト」が

そして、買ったレコードを脇に抱えてワクワクしながら家に帰って、そのレコードに針を乗せる瞬間なんかは興奮度マックス。そのぶん、曲を聴いた時の感動も大きく、心の中に深く染み込んだような気がします。それとは逆に、簡単に手に入れたものってすぐに飽きちゃいますよね。それは音楽に限った話ではないですが、今の時代は昔と比べて感動を得られる場面が少なくなったんじゃないかと思います。
 
音質についても、僕はデジタルよりアナログのほうが断然に好み。デジタルは音がくっきりしていてノイズがありませんが、音質が乾いていて僕の耳との相性はあまり良くないです。ですが、アナログレコードは、耳や空間と調和する自然な音が出るような気がします。

今はアナログレコード以前に、オーディオというものが一般家庭から消えつつありますが……。昭和50年代にオーディオブームというものがありましたが、まさか今のようなサブスクリプションで手軽に音楽を聴ける時代が来るとは思いもしなかったです。

しかし、近頃はアナログレコードの再評価が高まっているようで、新譜をレコードで出すアーティストが増えてきている印象。やはり、本当にいいものは、いつまでもなくならないということでしょうか。いずれにしても、アナログレコード世代としては嬉しい限りです。

空前のレコードブーム!?
 
インバウンド効果により国内ではレコードが大人気! 日本のポップスや歌謡曲なども求める外国人が多いが、それ以外にも国外の音源も海外より日本のレコードショップに多く眠っているそうです。今すぐディグるべし。

 
※表示価格は税込み


[ビギン2025年5月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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