「チャンピオン」と「ループウィラー」の代表作から、正統派スウェットシャツを徹底解説
もはや意識はしないけれど、快適性を向上させるディテールがギュギュッと詰まったスウェットシャツ。その詳細について、大家たる日米2大ブランドの代表作を基に解説!
“リバースウィーブ”を生み出した
「チャンピオン」
Champion[チャンピオン]
リバースウィーブ® 2ndパテントモデル
1stをベースにエクスパンションガゼットを加えることで、横の縮みへの影響を少なくし動きやすさに配慮。本商品は1952年誕生当初の姿を再現したものだ。2万7500円(ヘインズブランズ ジャパン カスタマーセンター)
スウェットの歴史はこれ以前これ以後で分かれるといっても過言ではない、画期的構造。裏毛はタテ方向の縮み率が高いため、生地のタテヨコを入れ替えてサイドにリブを設け、タテヨコともに縮みにくくした。伸縮性が向上するため動きやすいというメリットも。
CHAMPION[チャンピオン]
創業当初はセーターを販売していたが、その高品質を認められスウェットのオーダーを受けるように。ミリタリー・スポーツ・カレッジなど幅広い場面で活躍し、「キング・オブ・スウェット」として呼称されるようになった。徹底的なこだわりが詰まった日本企画の「トゥルー トゥーアーカイブス」シリーズも大人気。
もっと知っ得コラム
リバースウィーブには1stタイプが存在する!?
誕生は1934年。同社の営業マンが、洗濯時の縮みを解消するため、本来タテ向きに使われていた身生地をヨコ向きに使うという“リバースウィーブ”を考案。これで、もう洗っても着丈が縮まることはない♪ 1952年の2ndにて、両脇にエクスパンションガゼットを設けることで、さらに生地の縮みが軽減されることに。
Champion[チャンピオン]
リバースウィーブ® 1stパテントモデル
1938年に特許も取得された、エクスパンションガゼットが備わっていない1stモデルを復刻。アームとボディをひと繋ぎにしたパターンも忠実に再現している。2万7500円(ヘインズブランズ ジャパン カスタマーセンター)
ボディの生地を横方向にし縦方向の縮みを軽減
“吊り裏毛”を復古させた
「ループウィラー」
LOOPWHEELER[ループウィラー]
LW01 丸胴吊り編み クルースウェット
表・中・裏糸にそれぞれ30・30・6番手の糸を採用した、同社のファーストモデルにして最定番であるクルーネックスウェット。もっちりした風合いはまさにディス・イズ・吊り裏毛! 2万2000円(ループウィラー千駄ヶ谷)
ふんわりが持続するのはループ状の裏毛のおかげ
「フラットシーマ」で縫い目が平たく、着用時にごろつきナシ
ゆっくり編み上げる旧式吊り編み機でふっくらとした裏毛を実現!
吊り編み機は、1時間に約1mという超~低速で編まれるため、一台で編めるのは一日にわずかスウェット8着分程度。しかし、糸を無理に引っ張らずに空気を含みながら編まれるため、ふっくら嵩高で柔らかく引き裂き強度にも優れるというメリットがあるのだ。
LOOPWHEELER[ループウィラー]
過去の遺産となりかけていた吊り編みスウェットを復権させるべく、鈴木 諭氏が設立。当初から「世界一正統なスウェット」を掲げ、生地も製法も「Made in JAPAN」にこだわり、愚直に作り続けてきた。ちなみに、吊り編み=LOOP WHEELとした英訳は鈴木氏による創作。現在はTSURIAMIが世界標準語に。
歴史的な著名人もスウェットシャツの虜に
スティーブ・マックイーンが大胆にカットオフ!?
1963年に公開された名画『大脱走』の劇中で、彼が演じるヒルツ大尉は、5分丈に袖をカットオフしたスウェットに、アイビーリーガーさながらの細身チノパンを合わせ、所狭しとスクリーンを躍動。運動着だったスウェットは、お洒落着へと活躍の場を拡大した。
豊かな発想力の彼らはV字ガゼットに太鼓判
画家 パブロ・ピカソ
物理学者アルベルト・アインシュタインや画家パブロ・ピカソの着用姿を収めた写真を見ると、特にV字ガゼット付きがお好みだったご様子。この意匠は伸縮性を高めたり、汗止めとしても役立ったりと、着用時の“快”を生むために考案されたもの。時に合理的な、時に突飛な発想で人類を幸せにしたご両人が愛したのも当然の帰結!?
※表示価格は税込み
[ビギン2025年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。