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世代を越えて受け継がれるのが“真のBASIC”。服のプロが語る「継承モノ」6選

継承モノ

世代を超えるBASICって?【継承モノ語り】
質が高くて丈夫。デザインも普遍的で流行り廃りがない。そんな世の傑作たちが一生使えるなんて当たり前の話。むしろ世代を超えて使い続けられるモノこそが、真のBASICでしょ! ということで、ここではバトンを継いだ人、渡したい人たちの継承モノ語りをお届けします。

受け継いだモノ編①
「オヤジの一張羅が今ではボクの一軍に」

シップス 大宮店 副店長 髙橋英敬さん

髙橋英敬さん

1986年生まれ。学生時代から古着&モード好きだったものの、2008年にシップスに入社すると、父親譲りのトラッドマインドが強化され、スーツと紺ブレがコーディネートの軸に。

アイビー漬けの青春時代を過ごした洒落者だったという、髙橋さんのお父さん。「歯科技工士だったオヤジのイメージといえば“白衣にジーンズ”(苦笑)。ただ外出時は紺ブレやバラクータのブルゾンなんかを羽織ったりして、相当服好きだったみたいです」。

その遺伝子を色濃く受け継いだせいか、自身も早くからファッションに開眼。「ちょくちょくオヤジのクローゼットから目ぼしい服を持ち出したり、自分好みにカスタマイズしてましたね。高校の時なんかはリーの名作ウエスターナーのパンツをカットしてショーツにしちゃったり(苦笑)」。

そんな髙橋さんが、シップスに入社してトラッド好きになってから狙い続けてきたのが、お父さんが約40年前に購入した、名門J.プレスの紺ブレだったそう。

受け継いだモノ:J.PRESS/NAVY BLAZER

J.PRESS_NAVY BLAZER

「ある程度服の知識を得てから改めてクローゼットを覗いてみたら、どアメリカなこの紺ブレに目を奪われてしまって。譲って! と懇願したんですけど、ず〜っと拒否られてました。まぁ名作パンツをショーツ化された過去を思えば無理もないなと(苦笑)」。

ところが昨年、大事に着るならと譲ってもらえることに。

「2年前にバラクータのブルゾンを新調してあげたんですけど、そのお返し的意味合いもあったみたいです。羽織ってみたら40年物とは思えないほど状態がよくて、大事に着てたことがわかる。実際、実家には母とのデートや新婚旅行時に、これを着てるオヤジの写真も。体型は僕より少し大柄なんですが、それが逆に絶妙な落ち感を生んでくれて、今の気分にピッタリなんですよね。だからお直しはまったくしてません。職業柄紺ブレは何着も持ってますが、やっぱりこの紺ブレだけは特別な存在。思い入れも強いですし、純粋に使い勝手もいいんです。今日みたいに少し力の抜けたアメトラスタイルの主役になってくれるし、何かと便利で週1ローテは外せない一軍選手。4歳と1歳、どちらかの息子に譲れるよう、これからも大事に着続けます」

J.PRESS_NAVY BLAZERアイビー世代のお父さんは勝負服として溺愛(写真は父)

J.PRESS_NAVY BLAZER

(左)段返り3つボタンとパッチポケットは正にアメトラの意匠/(右)1980年代頃まで採用されていた通称“赤タグ”

受け継いだモノ編②
「祖父の眼鏡に適った名機で面接に挑みました」

ケアーズ 森下本店 副店長 樋口晴一さん

樋口晴一さん

1986年生まれ。時計とは無縁の業界に務めていたが、2014年に縁あって同店に入社。以来深遠なアンティークウォッチ界にどっぷり浸り、現在は5本近い愛機をローテーション中だとか。

アンティークウォッチ好きの聖地と名高い名店の副店長ともあれば、さぞ早熟だったんだろうと想像していたら、意外にも20歳になるまで時計にはさほど興味がなかったという樋口さん。

「成人した時にまともな時計を1本も持ってなかったので、祖父におねだりしたら、おもむろに『じゃあこれをあげるよ』と」。

受け継いだモノ:ROLEX/OYSTER PERPETUAL DATE

ROLEX_OYSTERPERPETUAL DATE

なんとも孫への溺愛ぶりが窺えるエピソードですが、お祖父さんは決して腕時計マニアというわけではなかったそうで、「服に関しても格別オシャレではなかったし、ロレックスだからって変に固執してなかったのかもしれません。ただ日本刀をコレクションするなど、独自の審美眼は確かに持っていましたね」。

晴れて名機を受け継いだ樋口さんは、27歳で同店の採用面接に行く際も本作を着用して行ったそう。

「“古い時計使ってるね”みたいな好感触を得て無事入社できたのは祖父のおかげだと思っています。店には1920〜50年代のヴィンテージが多く、入社当時はまだ60年代製のこの時計も少しモダンな感じがしていましたが、年月が経た今ようやく馴染んできたかなと。実際に最近では同年代の製品もヴィンテージとして店頭で販売しています(相場は40万円台後半)。自動巻きのカレンダー付きで普段使い向きだし、シルバー文字盤というのも流行りに関係なく着用できて気に入っているポイント。12歳の双子の娘がいますが、どちらかに譲ると揉めるので、生涯添い遂げる予定です(苦笑)」

ROLEX_OYSTERPERPETUAL DATE

(左)名機と誉高いCal.1570を搭載した超実用時計/(中)修理工房を設けた腕時計マニアの聖地「ケアーズ」/(右)同年代の同モデルもヴィンテージとして人気銘柄に

受け継いだモノ編③
「ダークチェリーカラーの渋さに親子で惚れ惚れ」

ビームス ライフ 横浜 サブショップマネージャー 窪 真純さん

窪 真純さん

1995年生まれ。お父さんの影響を受け、学生時代から大の服好きに。トラッドからモードに至るまで、その守備範囲は広く、気づかないうちにお父さんと同じ服を買ってることもあるそう。

数々の要職を歴任してきたビームスのレジェンド、浩志さんを父に持つファッションサラブレッドの窪さん。

「当時父が金髪だったこともあるんですが、やっぱり服もこだわってたし、小学校の参観日なんかは周りの父兄からちょっと浮いてて、よく友達から“お父さん何してるの?”って聞かれてました(苦笑)。でも考えてみたら、母に怒られながらも、好きなものを好きに買う父の背中に憧れてたからこそ、僕もビームスに入社したくなったのかもしれません」。

入社後半年経って希望していたビームス プラスの担当になると、オールデンのペニーローファーが欲しくなって探したものの、マイサイズが見つからず。

「父と僕はサイズが全然違うんですが、50〜60足オールデンを持っていたのを知っていたので、もしかしたらと聞いてみたら、“昔先輩から買った小さくて履けないローファーがあるよ”と、この靴を譲ってくれたんです(苦笑)。履いてみたらこれが見事にシンデレラフィット! 革質もいいし、定番のバーガンディよりちょっと赤みがかったダークチェリーっぽい色も珍しくて、トラッドにもカジュアルにも合う♪ 今日みたいな赤系のソックスと色合わせして、デニムなんかに合わせてます。たま〜に父がヒョッコリ店に顔を出すんですが、これを見るたびに“やっぱその靴いいね!”と。これからもお墨付きを得続けられるように、こまめにメンテしながら大事に履き続けようと思います」

受け継いだモノ:ALDEN/PENNY LOAFER

ALDEN_PENNY LOAFER

ALDEN_PENNY LOAFER

(左)上質カーフ特有の繊細な履きジワも渋イイ/(中)トラッド × カジュアルのミックススタイルには欠かせないキーアイテム/(右)大好物の赤系ソックスと重ねるのが流儀

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