「令和も通用する昭和の勝負服」
70〜80年代を切り開いた“ヘルシー”or“アングラ”なアイテムたち
西海岸のスポーツ文化が到来し、多様なスタイルが生まれた昭和後期。当時のカルチャーに精通するトロピカル松村さんのアーカイブと、いま買えるアイテムを合わせて魅力を紐解きます。

トロピカル松村さん
昭和63年生まれのライター。ページに載っている1970~80年代のサーフ&ファッションの物を揃えた博物館「さんかくなみ」を営む。
海に行かずとも西海岸に近づけたふたつの遊び
70年代後半以降、日本は空前の西海岸ブーム。ただサーフィンは興味があるけど、学生が簡単に始められるものではなく……。そこで注目されたのがテニスとスケートボード。テニスはというと、スウェーデンのビョルン・ボルグ&アメリカのジョン・マッケンローが愛用したフィラ、エレッセなどが大流行。
一方、元トップテニスプレイヤーのルネ・ラコステ率いるラコステも人気で、フレンチ派か、米・アイゾット派かなんてのがちょっとした社会現象に。そんな装いの学生が軽井沢に遠征へ。想像してみると、現代でも通用するヘルシーなイメージじゃない?
一方スケートボードは実話を元に作られた米・スケートムービー「ロード・オブ・ドッグタウン」でも見てとれるように、イケてる先輩らが通うサーフショップに恐る恐る入り、欲しいものを手にしていくような感じ。
ヴァンズのスニーカーや、ゼファーのTシャツ、キャンバス バイ ケイティンのボードショーツなんかを当時は蒲田の「ザ・サーフ」あたりで緊張しながらゲットする、テニスとは異なる“アンダーグラウンドカルチャー”だった。それらのブランドが今では気軽に手に入るのだから、有難い時代になったものです。
Tennis
①テニスメーカーのポロがファッショントレンドに
ラコステを筆頭に、同じ鹿の子でいうとマルボロのアパレルラインや、セルジオ・タッキーニなど。フィラ、エレッセのカラフルな配色も新鮮だった。今ならやはり前者かな。1万7600円(ラコステお客様センター)
②テニス着をカジュアル服にしたラコステ
LACOSTE[ラコステ]
ベルベットトラックジャケット
エレッセやフィラのトリコロールものと好みが分かれたラコステのトラッドなウェア。どちらも今に取り入れたいブランドだが、ラコステにスリーブのロゴテーピングがクラシックなトラックジャケットを発見。これはぜひ今のテニスボーイに取り入れてもらいたい。2万9700円(ラコステお客様センター)
③サスーンなどのディナージーンズも大流行!
Skate
①波乗りの延長だった遊びをカルチャーにしたチーム
②西海岸スケーターが好んだバージンウールシャツ
70年代サーファーはフランネルシャツの印象が強いが、スケーターは「Z-BOYS」ジェイ・アダムスのようにウールのボードシャツを選んだりもしていた。青めのものだとジェイ感UP♪ 4万7300円(ペンドルトン)
③昭和29年から手作りを貫くプロも愛する老舗
KANVAS BY KATIN[キャンバスバイケイティン]
サーフトランクス
アメリカは元より、日本でも70年代にサーフ&スケーターから愛されたカリフォルニアの老舗ボードショーツメーカー、キャンバス バイ ケイティンの逸品。国内に代理店がなく現地買付けとなるため、希少性が高い。1万6940円(セプティズ)
④今日まで語り継がれるZ-BOYS
Vans[ヴァンズ]
Era
1973年にカリフォルニアで誕生したサーフショップ&メーカー、ゼファーが、スケートチーム「Z-BOYS」を創設。在籍したトニー・アルバや、ジェイ・アダムスらはヴァンズをユニフォームのように愛用した。以降彼らスタイルマスターが愛用した「エラ」は今もスケーターの鉄板。7150円(VANS Japan)
※表示価格は税込み
[ビギン2025年2月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。