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連載[令和に響く昭和のハナシ]

今ならわかるその機能美。謎めいた近未来的デザインの空気清浄機がエモい【昭和レトロ】

サンコー電子の空気清浄機

エモさ満点のジャポニズム傑作を知る[令和に響く昭和のハナシ]
昭和を愛し、昭和暮らしを謳歌する平山 雄による、後世に語り継ぎたい名作語り。近未来的デザインの空気清浄機も、昭和生まれの革命品です。

Profile
平山 雄さん

昭和ヲタク

平山 雄さん

古物商として働きながら、SNSやブログを通じて昭和をレポート。著書に『昭和ぐらしで令和を生きる』(303BOOKS)など。

大人になってから機能美に魅了された目を疑うルックスの空気清浄機

「親や友人から貰ったものなので、処分できずに仕舞ってある」。そういうものがある人は少なくないんじゃないでしょうか。それが小さなものならまだしも、大きなものとなると場所をとるのでちょっとした問題です。じつは僕自身も、家の中にそういうものが幾つもあったりするんです。

たとえばその昔、おふくろが友人とフランスかどこかに、海外旅行へ行って来た時のこと。僕は実家を離れ一人暮らしを始めたばかりだったのですが、ある日突然おふくろから電話があり、「『スター・ウォーズ』(以下、SW)の土産を買ってきたから、取りにおいで」と言われたんです。

SWについては、日本で初めて公開された1978年に映画館へ観に行って以来のファンなのですが、おふくろはそれを覚えていたようです。僕は「おふくろにSWが分かるのか?」と半信半疑でしたが、せっかくなので受け取りに実家へ帰ることにしました。

すると、イヤな予感は的中! なんとその土産はSWでもなんでもなく、高さが30センチほどもある大きな中世ヨーロッパの騎士の置物だったのです。要らねぇー(笑)。その騎士の置物は、捨てることができずに今でもとってあるのですが、それを見るたびに、あの時のやりきれない気持ちが蘇るんですよね(笑)。

今回ご紹介する「サンコー電子の空気清浄機」も、その昔おふくろが、ヘビースモーカーだった僕の健康を心配して買ってくれたもの。しかし、当時は見た目も用途も気に入らず、かといって処分できるはずもなく、長いこと押入れに仕舞っていたんです。

ところが、現在暮らしている家に引っ越すことになった20年前のこと。荷造りをしている最中、久しぶりにこの空気清浄機を見ると、昔は気に入らなかったはずのものが不思議とカッコ良く見えたんです。

一見、何に使うものなのか分からない謎のルックス、両サイドが緩やかにカーブしたおしゃれなデザイン、吸引力が「LOW/HIGH」と切り換えられるシンプルなスイッチ、表示ランプの色も昭和時代ならではの温かみがあるんですよね。

サンコー電子の空気清浄機
「ワンタッチ」という名のごとくスイッチひとつでOK

実用面についても、しっかりとタバコの煙を吸ってくれるし、フィルターの掃除も、正面のグリルを「ポン!」と外すだけでかんたんにできるので、使い勝手が良く現代の生活でも十分に重宝しています。こんなに便利なものなら、もっと早くから使っていれば良かったです(汗)。

長いあいだ捨てられずに保管していたことが、結果として吉と出た珍しいパターンですね(笑)。

サンコー電子の空気清浄機
昭和のこの時代からイオンも発生!?

令和のイマどうなってる?
部屋全体の空気を循環させ清潔な空間を保ち、機種によってはアレルゲン物質の分解や除去まで対応する健康家電へと進化している。近年はもっぱら卓上ではなく、広い空間の空気を取り込めるよう大きいものが主流。

 
※表示価格は税込み


[ビギン2025年2月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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