【映画にまつわる昭和モノ】あの映画スターや監督と深~い関わりがあるアイテムたち
昭和元年から数えると、2025年は昭和100年の年。流行りのアナログ回帰もあるいま、火力高めなこの時代を鮮やかに彩ったモノ、コト、ヒトをビギンの独断と偏見で一挙選抜。当時の輝きをふり返っちゃいます!
MOVIEにまつわる昭和モノ
ラーメンブームの立役者でもある!? 極上の一杯
渡辺謙(左) 大友柳太朗(右)
映画『タンポポ』といえば、1985年に公開された伊丹十三監督(次の項目にも登場!)の作品。売れないラーメン店を再建するという大筋で、その中に今はなき春木屋の軽井沢店で撮影されたシーンも登場します。
この映画が日本やアメリカのラーメンブームに拍車をかける契機となったという説もあるのですが、それに対して見るからに美味そうな春木屋の一杯が一役買った……というのは大いにありえる話。
春木屋
中華そば
煮干しが香る和風スープと小麦の味わい豊かな中太縮れ麺が絶妙に絡まる、黄金バランスの一杯。名立たる文豪や映画監督などにも絶賛されてきたというのも頷ける、普遍的なクオリティである。普通盛り950円。大盛り1150円。
春木屋 荻窪本店
昭和24年創業以来、荻窪で70年以上にわたり愛される名店。支払い方法は今どきな完全キャッシュレス。
住所:東京都杉並区上荻1-4-6
営業時間:11:00~21:20(ラストオーダー21:00)
電話:03-3391-4868
英国モノを愛した伊達男の一本
伊丹十三
東京国税局査察部を舞台に、女性査察官と脱税者の戦いを描いた『マルサの女』で大ヒットを博した巨匠・伊丹十三。彼の数ある愛用品の中でも英国・ブリッグの傘は、『ヨーロッパ退屈日記』をはじめとした自身の著作でも度々言及していたほど、特別な思い入れがあったようなんです。業界きっての洒落者として知られていた彼だからこそ、きっと雨の日の立ち姿までこだわっていたに違いありません⁉
Brigg[ブリッグ]
こうもり傘
1836年にトーマス・ブリッグによって創設された英国の名門ブランドの一本。職人の手作業でメイド・イン・イングランド。Φ66cm。参考価格9万5700円(ヴァルカナイズ・ロンドン オンラインストア)
正装の懐にはスイス時計が
大島 渚
東京・中野で起きた「阿部定事件」を題材にした『愛のコリーダ』などの名作で知られる映画監督・大島 渚。そんな彼は生前「洋服は便利な変名の所産、 着物は“ゆとり”のシンボル」と和装を好み、懐にはトラディショナルなティソのポケットウォッチを忍ばせていたんだそう。
あえて便利な腕時計ではなくアナログな懐中時計をチョイスしていたのも、“ゆとり”を求めるがゆえの答えだったのかもしれませんね。
Tissot[ティソ]
ポケットウォッチ
ローマ数字やスモールセコンド、ティソが以前使用していた旧ロゴなど、なんともクラシックな文字盤。安心と信頼のスイス製。オートマティック。径50mm。SSケース。12万8700円(ティソ)
大量発注するほどお気に入り!
小津安二郎
広島に住む老夫婦と東京で暮らす子どもたちの家族の絆を描いた『東京物語』で名を馳せた、小津安二郎。眼鏡や白シャツ、腕時計など、モノに対しても並々ならぬこだわりを見せていた彼でしたが、特に象徴的だったのが白いハット。
同じデザインのメトロハットを年がら年中愛用し、一度に大量発注するほど気に入っていたんだとか。外での撮影が多い映画監督だから、日よけとして重宝していたのかも……。
GINZA TORAYA[銀座トラヤ]
メトロハット
小津監督が愛用していたメトロハットとよく似たデザイン。縫製をしてから洗いをかけており、買ったときからいかにも新品っぽくない風合いなのもイイ感じ。コットン100%。8360円(銀座トラヤ帽子店)
※表示価格は税込み
[ビギン2025年2月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。