連載[令和に響く昭和のハナシ]
ワンコイン…だけどエモい! 昭和部屋テイストを底上げするダイヤ模様の食器棚
エモさ満点のジャポニズム傑作を知る[令和に響く昭和のハナシ]
昭和を愛し、昭和暮らしを謳歌する平山 雄による、後世に語り継ぎたい名作語り。今回は「逆行部屋」の自宅を底上げする食器棚です。

昭和ヲタク
平山 雄さん
古物商として働きながら、SNSやブログを通じて昭和をレポート。著書に『昭和ぐらしで令和を生きる』(303BOOKS)など。
無名のワンコイン食器棚が昭和部屋テイストを底上げ
我が家は、高度経済成長期の暮らしぶりを再現した部屋作りをしています。もちろん、家自体も当時に建てられたもので、家具やインテリア、電化製品から食器などの小物類まで、家の中にあるものすべてを当時の物で揃えています。正確には、スマホを持っていたり、仕事部屋にパソコンがあったりしますけど(汗)。
我が家を訪れた人からよく、「これだけ古いものを集めるのに、だいぶお金がかかったんじゃないですか?」と言われるのですが、実際はその逆。たぶん、現代の一般的な製品より遥かにお金がかかっていないんじゃないかと思います。
今でこそ昭和時代のアイテムはブームによってそれなりの価格になっていますが、部屋作りをした20年前は、昭和30~50年代頃のものはあまり価値のないものとして扱われていたんです。
もちろん、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」のようなキャラクター物など、マニアが集めそうなコレクターズアイテムは別ですが、洋服タンスやサイドボードのような一般的な家具や小物などは、むしろ平成のものより安く売られていたほどです。
今回ご紹介する「ダイヤ模様の食器棚」は、リサイクルショップでワンコインで購入しました。見つけた時は「こんなに可愛いものが、こんなに安く買えるのか!」と目を疑ってしまいしたね。
この食器棚で特に気に入っているのは、なんといっても、ガラス戸に入ったダイヤの連続模様。今の時代は、ガラスに何かを印刷した家具なんて、ほとんど見かけません。メーカーや製造時期などの詳細は一切不明ですが、こういった幾何学模様が流行ったのは昭和40年代前半頃なので、おそらくその時期のものだと思われます。
下段のガラス戸も同様ですが、現代の家具で型ガラスが使われているものは、ほとんど見かけないですよね。型ガラスは当時の流行りなので建具などにも多く使われましたが、この模様は他で見たことがない珍しい型です。
側面に張られた青色の化粧板と白い縁との色合いも、当時らしい組み合わせ。奥の面に張られた壁紙の柄も、地味におしゃれで味わいがあります。
奥に貼られた壁紙まで雰囲気ある~
設置場所については、壁に掛けても置いて使ってもいいように作られていますが、板張りの壁と相性が良かったので、壁に掛けました。下段に少し傾斜がついているのは、きっと角に頭などをぶつけないようにするための工夫ですね。それが見た目的にもおしゃれだし、よく計算されています。
どこを取っても優れたデザインの食器棚。いや~、いつまでも眺めていられます。
日本の食器棚の始まりは遡ること江戸時代。茶たんすや水屋たんすと呼ばれるものが最初で、明治時代に一般家庭にも普及。昭和以降、生活スタイルの変化に伴い、今日まで続く洋風の食器棚が一般化しました。
※表示価格は税込み
[ビギン2025年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。