ライトアウター界の宝石! 今季注目するべき“玉虫”アウター9選
ライトアウター界の宝石[玉虫アウター図鑑]
太陽の光が生み出す天然のニュアンスが着こなしのスパイス。経糸と緯糸の色を変えることにより、光の当たり方や動きによって色合いが変わる“玉虫”生地は、まさにライトアウター界の宝石です。ルーツは20世紀初頭。英国の植民地で亜熱帯の紫外線から兵士の肌を守るために開発されたものの、軍用として使われた期間は短く、その後は英国やイタリアの洒落者たちの生地となり現在に至ります。ここでは、今季注目の“玉虫”アウターたちを大採集。この図鑑をもって玉虫色に決着!
緑色に赤い帯が入り、全身に金属光沢を帯びた昆虫。その美しさから日本では古来より縁起のよい虫とされ、吉兆虫とも呼ばれる。「箪笥に入れると着物が増える」という言い伝えも。甲虫目タマムシ科。
美発色な玉虫アウターの代名詞
味のあるコットン100%の玉虫ギャバジンモデルは希少
1970〜80年代製バーバリー[1970〜80s Burberry]
トレンチコート
玉虫アウターを象徴する名品といえば、ギャバジン素材、そしてトレンチコートを開発したことで知られる英国の名門、オールドバーバリーのトレンチコートだ。
上の写真をご覧の通り、裾が翻った際などに美しい色彩を帯びる“玉虫ギャバジン”生地を用いたメイド・イン・イングランドの一着は、エイジングも味わい深いコットン100%製。それゆえ、サラリと羽織るだけで圧倒的なオーラを放つ。
昨今のオールドバーバリー人気のため、ヴィンテージ市場でもあまり見かけなくなった希少種だ。バーバリーチェックの裏地もアイコニック。7万9990円(アネモネ)
市場でもほとんど見かけない玉虫光沢のニットギャバジン
貫通ポケットなどは軍物由来のトレンチ仕様
Aquascutum[アクアスキュータム]
テックトラベロード
見た目はクラシックなトレンチ仕様のシングルベルテッドコート。素材も伝統的な玉虫ギャバジンのように見えるが、触ってみるとストレッチも効いているうえなんともしなやか♡ 実はコチラ、玉虫色の光沢をニットで再現した珍種。超長綿スーピマ100の細番手に、T400というエコポリエステルをブレンドした糸を使い、超希少な46Gスーパーファインゲージのジャカード機で編み上げ、伝統のソラーロ(玉虫)ツイルをニットで再現した特別な一着だ。光沢やハリ感を出した染め加工もお見事。15万4000円(アクアスキュータム)
□ 創業地:英国
□ ブランド解説:1853年に防水加工を施したウール生地を開発した老舗。ブランド名は「水の盾」という意味。
□ 分類:ミリタリー科トレンチコート属
□ 着られる時期:秋口から春先にかけて。季節の変わり目にも調節しやすい着脱可能なライナー付き。
□ 玉虫度:☆☆☆
無骨な米軍デザインに色っぽい玉虫ツイルがナイスミスマッチ!
ジャングルファティーグをベースにバランスよくポケットを配置
*A VONTADE[アボンタージ]
ジャングルファティーグジャケット モディファイ
今回集めた“玉虫”アウターの中でも抜群の光沢感を放っていたのがコチラ。経糸と緯糸の色を変え、オリーブベースとオレンジベースの糸を使用して織り上げることで見事な玉虫色を表現。さらにドレスシャツに用いられるほど滑らかな100番手の糸を双糸にして強撚することで極上のドレープ感が生まれ、仕上げに毛羽を焼く加工を施すことでコットン100%とは思えないシャリっとした生地感に。1960-70年代米軍由来の無骨なデザインと色気ムンムンの玉虫ツイルが融合した唯一無二の仕上がりだ。4万6200円(ブリックレイヤー)
□ 創業地:日本
□ ブランド解説:古きよき欧米のワーク、ミリタリー、スポーツをソースに、現代的に再構築。日本でのモノ作りにこだわる。
□ 分類:ミリタリー科ジャングルファティーグジャケット属
□ 着られる時期:夏以外の3シーズン。ドライでシャリ感のあるタッチなのでカットソーの上からでもサラッと羽織れる。
□ 玉虫度:☆☆☆☆☆
玉虫シャンブレーギャバジンの質感を楽しむシンプルデザイン
BEAMS JAPAN[ビームス ジャパン]
シャンブレーブルゾン
素材にしっかりとしたハリコシのあるコットンポリエステルの玉虫シャンブレーギャバジンを用い、シンプルなコーチジャケット風デザインに仕上げた一着。ゆったりとした肩幅、身幅に加え、袖幅をゆったりとることにより、立体感のある現代的なシルエットに。裾のスピンドルでシルエットの調節が可能。3万580円(ビームス ジャパン)
□ 創業地:日本
□ ブランド解説:BEAMSの目で日本を見つめ直し、職人技からサブカルチャーまで広く ニッポンの魅力を世界に発信。
□ 分類:スポーツ科コーチジャケット属
□ 着られる時期:秋口から春先にかけて。裏地にブラックウォッチのコットンツイル付き。
□ 玉虫度:☆☆☆☆
落ち着いた光沢を帯びるブラウンベースの玉虫ギャバ
CABaN[キャバン]
シャツ
高密度コットン生地に定評のある、イタリアの名門、BESTE社の柔らかでエレガントなナチュラルコットンツイル生地を使用したブラウンベースの上品なソラーロ(玉虫)シャツ。衿が詰まったデザインパターンは、ビッグシルエットでありながらルーズに見えないのが特徴。サラリと羽織るだけでサマになる。2万6400円(キャバン 丸の内店)
□ 創業地:日本
□ ブランド解説:トゥモローランドのオリジナルブランド。性別や年齢、国籍を超え、シンプルかつ遊び心のあるウェアとグッズを展開。
□ 分類:シャツ科バンドカラーシャツ属
□ 着られる時期:秋と春の2シーズン。ゆったりフィットでざっくり着られるシャツアウター。
□ 玉虫度:☆☆☆
スーピマ超長綿を使用した高密度ギャバジンの美発色玉虫
COHÉRENCE[コヒーレンス]
BIRKS-FLB
希少なスーピマ超長綿を使用した糸染めの高密度ギャバジンはオリジナルの素材。特殊な加工を施すことで、撥水性と通気性がありながら、原料本来の風合いが生きた美しい玉虫色に。こちらは1940年代のジャズトランペット奏者、ジョン・バークス・ガレスピーが着ていたスポーツジャケットがモチーフの一着。18万7000円(コヒーレンス)
□ 創業地:日本
□ ブランド解説:独自開発による日本の素材と緻密な縫製技術によって、各国の目利きから高い評価を得ているブランド。
□ 分類:スポーツ科スポーツジャケット属
□ 着られる時期:晩秋から春先にかけて。温かいウールブランケットジャージーの裏地付き。
□ 玉虫度:☆☆☆☆
玉虫ギャバジン↔ツイードのリバーシブル仕様
Scye[サイ]
ハリントンジャケット
着脱可能なフード付きで、玉虫カラーのコットンギャバジン面↔ホームスパンツイード面のリバーシブルになった、4通りの着方が楽しめる一着。玉虫ギャバジンの落ち着いた美しさもさること、Super160’s 原料のウールにシルクネップやカシミアを紡績した糸を使用したツイードも味わい深い。13万2000円(マスターピースショールーム)
□ 創業地:日本
□ ブランド解説:英国クラシックをベースに現代的な視点から再構築したリアルクローズを提案。ブランド名は、テーラー用語で袖ぐりの意。
□ 分類:スポーツ科ハリントンジャケット属
□ 着られる時期:晩秋から春先にかけて。ツイード↔コットンギャバジンのリバーシブル。
□ 玉虫度:☆☆☆
通勤も玉虫、休日も玉虫、雨の日も玉虫、晴れでも玉虫
SHIPS any[シップス エニィ]
ベントーネ バルカラー コート
超高密度でハリ感のあるコットンギャバジン素材、ベントーネを使用したコート。ベンタイルの製造技術を駆使し、コットンと合繊フィラメントを交織した生地だ。シンプルなデザインに玉虫カラーが映え、オンオフ問わずクラシカルに着こなせる。撥水加工が施されており、雨にも強い。3万5200円(シップス インフォメーションセンター)
□ 創業地:日本
□ ブランド解説:シップスが展開するオリジナルブランド。カジュアルからビジネスまでリーズナブルな価格で提案。
□ 分類:レインコート科バルカラー属
□ 着られる時期:秋口から春先にかけて。撥水加工が施されており、雨に強いのも特徴。
□ 玉虫度:☆☆☆
軍物由来の骨太アウターとドレスな玉虫生地が融合
Southwick GATE LABEL[サウスウィック ゲートレーベル]
M65 フィッシュテールコート
米軍アウターの傑作、M65フィッシュテールコートをベースに現代的にアレンジ。某高級ブランドの生地を研究して開発した70番手双糸の高密度コットンギャバジン生地は、適度な艶感の玉虫カラーが特徴だ。ミリタリーとドレスが融合した一着は、オンオフどちらも重宝すること間違いなし。6万500円(シップス インフォメーションセンター)
□ 創業地:米国
□ ブランド解説:マサチューセッツ州で設立された、アメトラを代表するテーラリングファクトリーのエントリーライン。
□ 分類:ミリタリー科モッズコート属
□ 着られる時期:秋口から春先にかけて。ボリュームのあるシルエットなので、厚手のインナーを着てもOK。
□ 玉虫度:☆☆☆☆
※表示価格は税込み
[ビギン2024年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。