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連載[令和に響く昭和のハナシ]

【昭和レトロ】土産屋で運命の出会い!昭和のカッパブームで誕生したチャーミングな「ポーズ人形」

カッパのポーズ人形

エモさ満点のジャポニズム傑作を知る[令和に響く昭和のハナシ]
昭和を愛し、徹底した昭和暮らしを謳歌する平山 雄による、後世に語り継ぎたい名作語り。潤んだ目が愛らしいこの人形は一体!?

Profile
平山 雄さん

昭和ヲタク

平山 雄さん

古物商として働きながら、SNSやブログを通じて昭和をレポート。著書に『昭和ぐらしで令和を生きる』(303BOOKS)など。

運命すら感じた昭和の象徴、カッパ!

当時の人気ぶりをご存知でしょう。そして、さらに時代を遡ると、昭和の中頃にパンダブームやカッパブームというものがありました。まあ、カッパは正確には動物ではなく妖怪ですが、その人気ぶりは他の動物たちとは比較にならないほど根強いもので、ブームがじわじわと10年や20年(もっと?)続いたのです。

そのきっかけとなったのは、清水崑氏が昭和26年ごろに描いた漫画『かっぱ川太郎』。その後、「黄桜酒造」のマスコットキャラクターに採用されたことは、あまりにも有名です(僕は世代的に、小島功氏に引き継がれてからのほうが馴染みがありますが)。

カッパのポーズ人形
スイスイかっぱ河太郎♪のCMソングも人気

昭和30~40年代には、こけしやポーズ人形をはじめ、陶器製のものなどなどさまざまなタイプのカッパが登場しただけでなく、昭和41~57年にフジテレビで放送されたテレビ番組『ママとあそぼう!ピンポンパン』では「カータン」というカッパのキャラクターが人気を集め、昭和46年には玩具メーカーの「トミー」から発売された電池式の泳ぐカッパ「スイスイかっぱ河太郎」が、大ヒットしたりもしています。

カッパのポーズ人形
大竹 宏氏が声優を務めたかっぱのカータン

今回ご紹介するカッパのポーズ人形も、そんなブームの中で生まれたもの。12年ほど前に群馬県の館林を観光した際、たまたま立ち寄った土産屋で見つけました。生産された時期は、全体の色合いや質感からして恐らく昭和40年代前半と思われますが、ポリエステル繊維のごわごわした赤い髪や、キラキラしたつぶらな瞳が、いかにも当時らしい雰囲気です。

頭のてっぺんに乗った造花や背中の甲羅に止まったトンボも可愛いですし、何より葉っぱの上に乗っているところがポイント。当時のカッパグッズはインターネットで探せばいろいろと出てきますが、ここまでチャーミングなものは、なかなかお目にかかれないですね。

それにしても、こんなに可愛いものが、よく半世紀ものあいだ売れずに残っていてくれたよなぁ。それに、あの時に館林へ遊びに行っていなかったら、このカッパのポーズ人形は今頃どうなっていたんだろう。そう考えると、この出会いに運命的なものを感じずにはいられません。

令和のイマ、どうなってる?
当時のかっぱモチーフグッズは、オークションサイトなどで出品されることは珍しく、専門の玩具屋などで掘り出し物として見かける程度に。今でもかっぱをモチーフにしたキャラクターは各社から登場している。

 
※表示価格は税込み


[ビギン2024年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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