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ここからは、実際に試乗した2車の印象の違いをお伝えしよう。リッタークラス(排気量1000cc前後)のカウルのないネイキッドマシン、そして歴史的モデルにオマージュしたデザインなどは共通するが、実際にライドしてみると両車の性格は思った以上に異なる。
またがる前に押して歩いた段階から、2車の違いは明確。「CB1100RS」がこのクラスのマシンらしい重厚感で、スタンドを上げた段階で大排気量車らしい重さを感じるのに対して、「Z900RS」は600ccクラスのマシンのように軽快。「CB1100RS」が262kg、「Z900RS」が215kgとスペック上の数値も50kg近い差があるが、実際に押してみるとそれ以上の差を感じる。

エンジンをかけても、やはり空冷エンジンの「CB1100RS」は内部の爆発が空冷のフィンを通じて空気を揺るがしているような重厚感を感じる。しかし、水冷の「Z900RS」の排気音もチューニングが施されているだけに迫力は十分。かつてのZシリーズのエキゾーストノートを知っている人でも、不満を感じることはないだろう。

カワサキ Z900RS
カワサキ Z900RS

クラッチをつないで走り出すと、性格の違いはより顕著になる。ピストンがエンジンの内部で動いているのが伝わってくるような空冷エンジンらしい鼓動感とともに車体が加速していく「CB1100RS」に対して、「Z900RS」はアクセルを開けた瞬間から鋭いレスポンスで前に出る。車体の軽さと水冷エンジンならではの回転上昇の速さが、ここでも感じられた。ただ、”速い”のは「Z」のほうだとしても、この2車種で一緒にツーリングに出かけたとしても「CB」が遅れを取るかと言われれば、そこまでの差はない。ピークパワーは「CB1100RS」の90PSに対して、「Z900RS」は111PSだが、そこまでのパワーを引き出して走れるようなシーンは公道ではあまりないからだ。

カワサキ Z900RS
カワサキ Z900RS

コーナリングでも印象の違いはハッキリしている。「Z900RS」が車体の軽さを活かして、きっかけを与えてやれば軽快にバンクし鋭いコーナリングが可能なのに対して、「CB1100RS」は車体を寝かす操作にも重厚感が伴う。おそらく、コーナーが連続するワインディングやサーキットでタイムを計ったら、速いのは「Z900RS」だろう。ただ、楽しいのはどちらかと言われると、これが甲乙つけがたい。バイク任せに走ってもある程度のペースでコーナーが抜けられる「Z900RS」に対して、「CB1100RS」は曲がるために明確な操作を行う必要がある。ただ、その分、重い鉄の塊を意のままに操れたときの達成感も大きいのだ。スムーズにコーナーをクリアでき、鼓動感あふれるトルクで立ち上がって行くときの気持ちよさは、今どきの軽量なバイクでは味わえないものだ。
ともに歴史ある「CB」と「Z」の銘を背負い、同じリッタークラスのネイキッドとして同時期にリリースされた2モデル。価格も「CB1100RS」が137万8080円、「Z900RS」が132万8400円(カラーリングによって異なる)と近しいため、ライバルとして比較している人もいるかもしれないが、購入するのであればそれぞれの性格を知ったうえで選びたい。

※表示価格は税抜き

文/増谷茂樹

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