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Jul-08-2024

巨匠「柳 宗理」が1970年代以降に手掛けた一生モノの名作カタログ

designed by 柳宗理

ワンコインモノから一生モノまで「Design by 柳 宗理 カタログ」(後編)
日本のインダストリアルデザインの先駆けにして、世界中で巨匠と謳われる柳 宗理氏。手がけたデザインは数知れず、一生モノだけでなくお気軽ギフトにピッタリなものまで実に幅広し。現在も購入可能なアイテムを通して、歴史をプレイバック!

Profile
柳 宗理さん

柳 宗理(1915~2011年)

東京出身。民藝運動の指導者・柳 宗悦氏の実子でもある。デザインという言葉がまだ一般に認知されていない時代から、活動を開始。紫綬褒章受章・文化功労者顕彰など国内は当然のこと、MoMAを筆頭とする名美術館に作品が永久収蔵されるなど、世界でも圧倒的な評価を獲得している。

①[1974年]カトラリー①
「日本人のためのカトラリーを」とのオーダーに応えて製作!

柳宗理 #1250 ステンレスカトラリー

#1250 ステンレスカトラリー

金属専門商社の佐藤商事の依頼を契機に開発スタート。同社傘下である日本洋食器の技術サポートを得て、日本人の手になじみがよい、流線優美なお洒落カトラリーが誕生した。コーヒースプーン(473円)などラインナップは多彩。(佐藤商事)

②[1975年]鏡
柳氏の美学×曲木の伝統が生み出す揺るぎなき曲線の妙

柳宗理 曲木鏡

曲木鏡

日本唯一の曲木家具専門メーカー・秋田木工とのコラボ作で、煮沸成形された無垢材が描く曲線がシンプル&絶美。流行に左右されず、飽きがこないデザインは現代でも違和感ナシ! 写真は小判型のSサイズ。W40×H50cm。3万2863円(柳ショップ)

③[1975年]急須
柳氏自らが描いたアイコン柄は鳴門の渦潮をイメージしたもの!

柳宗理 染付和食器(現柳和食器シリーズ)

染付和食器(現柳和食器シリーズ)

柳氏が普段使い用の和食器として最初に手がけた作品。しかも、白磁に青藍(せいらん)顔料で染め付けらた鳴門の渦潮がモチーフのアクセントは、意外にも同氏が描いた初の文様なのだそうな。W14.5×H9.2×D11.6cm。220㏄。5280円(深山食器店)

④[1976年]盃
超ユニークなガラスの盃は冷酒でも熱燗でもイケちゃう

柳宗理 清酒グラス

清酒グラス

日本酒のノベルティとしてデザインされた、冷酒でも燗でも味&香りが引き立つ盃。口当たりを快くすべく、縁は丸く厚く作られている。指の形に沿う曲線と安定感ある高台も特徴。写真はLサイズ。Φ6.6×H7.7cm。120ml。6個セット2838円(柳ショップ)

⑤[1978年]チェア
継ぎ目なき流線の美しさに冴えわたる一本曲木の匠技

柳宗理 アームチェア

アームチェア

柳氏の得意とする柔らかく、流れるような曲線が粋。紆余曲折を経て、現行では飛騨の職人による、背から肘にかけて一枚板の曲木の技が駆使されている。「柳チェア」と呼ばれることもある名作。W54×H68×D51.5×SH39.5cm。30万2500円(飛騨産業)

[1981年]紫綬褒章を受章

⑥[1982年]カトラリー②
高い技術で、素材が異なる皿部と柄部をシームレスに

柳宗理 #2250 黒柄カトラリー

#2250 黒柄カトラリー

鍛造で厚みが微調整されたステンレスの皿部は口当たり上々。しかもその皿部と、カバ材積層強化木から成るグリップとの継ぎに段差がなく、一体形状に見えるのは職人技あってのことだ。コーヒースプーン(3740円)などさまざま。(佐藤商事)

⑦[1982年]平皿
「皿は丸い」の常識を覆したソフトスクエアなお洒落皿

柳宗理 白黒角形ディナーセット

白黒角形ディナーセット

陶磁器は真円形が主流だった時代に、量産には不向きでも自在な形にできる圧力鋳込み成型技術で、この角丸スクエア形を実現。当時は革新的だったマット仕上げも、このフォルムと好マッチ。プレートSサイズ(各1760円)など。(セラミック・ジャパン)

⑧[1994年]やかん
注ぐ際の一連の動作を研究しスムーズな使い勝手を徹底追求

柳宗理 ステンレスケトル

ステンレスケトル

ハンドルは手なじみよく、人差し指の力加減で注ぎ量の微調整楽勝。熱伝導率が高い平べったい形に、側面と底面でステンレスの合金配合を変えたことが相まって短時間で沸騰する。W24.4×H20.5×D19㎝。2.5リットル。つや消しタイプ1万1000円(佐藤商事)

⑨[1996年]スツール③
こんな形状でも、じつは座って快適&持ち運び楽々

柳宗理 三角スツール

三角スツール

丸みを帯びた三角形の座面と、安定感ある太い3本脚が個性的。座枠にも角張りや直線部分がないから手に優しく、枠裏の凹部はスタック状態で座面の下に指を差し入れやすくする。北海道産ナラ材製。W40×H40×D36.8cm。5万7200円(モノ・モノ)

⑩[1997年]鍋
ダブル注ぎ口構造だから利き手問わずで湯切り上手に

柳宗理 ステンレス片手鍋

ステンレス片手鍋

調理動作の研究から生まれ、左右に注ぎ口があり利き手を問わない。蓋は回転させることで吹きこぼれが防げる上、具材は残し煮汁だけ捨てるのも容易。写真は直径18cmサイズのつや消しタイプ。W35.1×H11.7×D21.8cm。2リットル。7700円(佐藤商事)

⑪[2002年]フライパン
そのまま食卓に出せちゃう頼れる伝統素材

柳宗理 南部鉄器シリーズ

南部鉄器シリーズ

熱を逃さず均一に行きわたらせる、南部鉄器。左右の注ぎ口は利き手を選ばないという利便性に加えデザイン性も兼備し、そのまま食卓に出しても◎。写真は直径16cmサイズのミニパン(蓋なしタイプ)。W24.7×H4.2×D17.8cm。5500円(佐藤商事)

[2002年]文化功労者に顕彰
[2011年]96歳で逝去。正四位・旭日重光章を受章

※表示価格は税込み


[ビギン2024年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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