【Design by 柳 宗理】1960年代までの超〜多彩なアイテムカタログ
ワンコインモノから一生モノまで「Design by 柳 宗理 カタログ」(前編)
日本のインダストリアルデザインの先駆けにして、世界中で巨匠と謳われる柳 宗理氏。手がけたデザインは数知れず、一生モノだけでなくお気軽ギフトにピッタリなものまで実に幅広し。現在も購入可能なアイテムを通して、歴史をプレイバック!

柳 宗理(1915~2011年)
東京出身。民藝運動の指導者・柳 宗悦氏の実子でもある。デザインという言葉がまだ一般に認知されていない時代から、活動を開始。紫綬褒章受章・文化功労者顕彰など国内は当然のこと、MoMAを筆頭とする名美術館に作品が永久収蔵されるなど、世界でも圧倒的な評価を獲得している。
①[1952年]ポット
当初は「半製品」とディスられた白無垢の究極シンプル陶器
松村硬質陶器N型シリーズ(現ボーンチャイナシリーズ)
当時斬新だった白無垢の硬質陶器は「半製品」とか「便器」と揶揄されたが、直に「シンプルでイイ!」となった。写真はボーンチャイナ(粘土と骨灰を混ぜたもの)に原料を変更した「ティーポット」。Φ21.6×H14.4cm。1100㏄。2万2000円(ニッコー)
②[1954年]スツール①
柳氏が自分のアトリエ用に作った作業用のイスが原点
エレファントスツール
軽く、コンパクトで安定感があり、スタッキングもOKなこちらは、柳氏が自分のアトリエ用に作ったものがルーツ。当初はFRP強化プラ製だったが、2004年の復刻以降、ポリプロピレン樹脂製に。W51.5×H37×D46.5cm。1万7600円(ヴィトラ)
③[1956年]スツール②
世界中へと“羽ばたいた”日本発デザイン史の超傑作
バタフライスツール
成形合板技術の研究者との出会いから誕生。くの字に曲げた2枚の合板を金具でつないだだけのシンプル構造だが、斬新なデザインと高い実用性で、ルーブル美術館やMoMAの永久収蔵品となった。W42.5×H38.7×D31cm。5万7200円(天童木工)
④[1958年]土瓶
陶芸工房との協業が民藝との関係を強めるきっかけに
黒土瓶
駅売り緑茶の容器に着想を得た角形茶瓶で、それ以前は反発していた父の民藝運動を見つめ直す契機ともなった作品。当時は試作に留まるも、2004年、民藝の窯として知られる出雲の出西窯と協力し商品化。W21.5×H22×D15cm。1万9800円(出西窯)
⑤[1950s後半]お椀
手に持ちやすい形状×手に気持ちよい本漆の融合
柳漆椀
1950年代にデザインした漆椀を基に、細部に改良を加え、山中温泉近くの漆工房と協業して復刻。ろくろで木地を削り出すなどして歪みなく美しく、持ちやすい形状に。写真は木目を活かした目弾き(小)タイプ。Φ12.6×H6.4cm。1万5400円(漆工房大島)
⑥[1963年]テープ台
クルクル回って、全方向からテープのプル&カットを楽勝に
ロータリーテープディスペンサー
両方向に360°水平回転! どの方向からでも簡単にテープをカットできるアイデア商品で、海外でも評価が高くMoMAの永久収蔵品にもなった。2020年、切れ味と耐久性を高めつつ、コクヨが忠実復刻。W11.5×H13.5×D15.7cm。2万7500円(コクヨ)
⑦[1966年]コップ
流れ落ちる水滴モチーフは滑り落ち防止にもお役立ち
グラス(現Yグラス)
デザインモチーフの流れ落ちる水滴は指懸かりにもなって、うっかりツルリッを防いでくれる。「Yグラス」と名付けられた現行品は、1899年創業の廣田硝子が2018年に復刻させたもの。写真はSサイズ。Φ6.5×H7.25cm。150ml。2750円(廣田硝子)
⑧[1968年]笛
柳氏×こけし工房の鳩笛は姿もさえずりも素朴&キュート
鳩笛
鳩笛の多くは土焼きだが、宮城県の特産品である鳴子こけしの老舗・高亀の元職人がこけしの材料として用いられるミズキをろくろ挽きして製作。彩色は柳氏による下絵に従って、手仕事で施されている。W4.5×H7.5×D8.5cm。4180円(柳ショップ)
※表示価格は税込み
[ビギン2024年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。