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May-15-2024

【100年前の編み機で作る】豊染工×コメチウ / ループエンジニア【和歌山大莫小】

「コメチウさんしか扱えない100年前の編み機があると知ってお願いしました」(田中さん/豊染工)
「この編み機を作った人は本当に天才やと思います」(南方さん/コメチウ)

豊染工は70年以上の歴史を持つ莫大小(メリヤス)の染色工場。和歌山大莫小では、反応染料でヴィンテージのような色落ちを再現するピールオフ加工や、柔軟剤と蒸気タンブラーのマッチングでスーパーソフトな風合いを出す豊(ゆたか)ソフィなど、3代目の田中さん自ら工場に立ち、そこで感じる課題やアイデアから生まれた技術を開発しています。そんな現場派の田中さんが師と仰ぐのが、コメチウの代表・南方俊二さんです。

コメチウさんしか扱えない100年前の編み機がある

 

豊染工×コメチウ / ループエンジニア
袖と裾のリブを繋ぐ縫製が不要になりフラットな肌当たりを実現

「仕事というよりも個人的にお世話になっていて。普段の会話でコメチウには俊二さんにしか扱えない機械があるという話を聞いたことがあったんです。ニット業界の常識で、天竺ならシングル編み機、フライスならダブル編み機という具合に、機械で編める組織が決まっているんです。でもその編み機は一枚の生地の中で組織が変えられてリブや袋編みもできるという。めずらしいし、何よりコメチウさんを和歌山大莫小で紹介できたら面白いはず!とお願いしたんです」と田中さん。コメチウはインナーなどに使われる小寸の丸編みの機械に特化したニッターで、代表の南方さんは350台ある編み機の構造をすべて把握しているといいます。「間違いなく和歌山産地で最も機械に詳しい社長です」

「話の流れで、田中くんが使ってみたいということでね。この機械は100年以上前、イギリスのベントレー──今は車を作ってるあのベントレー社が出した小寸の成型機で名前を『メロー』というんです」と南方さん。成形という言葉通り、前身頃・後身頃・両袖の計4パーツが一つの生地の中で編み上げられます。天竺→袋→リブ→フライス→天竺と組織を変えることで、袖と裾のリブを繋ぐ縫製が不要になりフラットな肌当たりを実現。天竺は分割ポイントで糸を1本切るとパーツが分かれ、リブの先端は袋編みで糸がほつれない仕様になっています。「これは元々うちにあった機械ではなくて、茨城のニッターで使われてたんです。そこが廃業されるということで、あちこち声をかけたんですが古い機械でどこも扱えず最後に話が来ましてね。2週間ほど現地へ行って回し方を教えてもらって、うちの工場に15台持ってきたんです。その後でまず1台をバラバラに分解しました。それをもう一回組み立てられたら構造がわかるじゃないですか。これが俺のやり方なんです。1400〜1500くらいパーツがあって元通りにするのに3ヶ月くらいかかったんですが、これを作った人は本当に天才やと思いましたね」

豊染工とコメチウのタッグT


古い機械を通じて過去の技術者と対話し、リスペクトを持って現代に引き継ぐ。コストを優先し、均一化されていく世界で、こういった試みこそ和歌山ニットを凄みと言えます。もちろん古いだけでなく、メローにしか出せない特徴がちゃんとあります。

「この編み機はとにかく風合いが良いんです。理由は使う糸の本数が少ないから。同じ口径でも昔の機械が20本のところを新しいのは40本で編める。糸を多く入れるほど効率は上がりますが、その分、針のスペースを狭くしないといけない。そうすると、ニットを編む針の角度が急になり、糸にストレスがかかって、編地のループがつぶれてしまうんです。今回は、ローゲージの甘撚り、原糸にスビンコットンの35番双糸を使ってゆっくり編み上げたので、ループの楕円がキレイに出ています。柔らかいけど、着崩れせず長持ちすると思います」(南方さん)

豊染工ではループの肌触りをさらに引き出すため、こちらも半世紀前のウィンス染色機で時間をかけて染め上げ、スーパーソフトな柔軟加工を施しました。すべてはループのため。その着心地をぜひ体感してみてください。

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