4711のオーデコロン

モノ好きの嗅覚に刺さった
1792年、元祖オーデコロン
紳士のマストアイテム、香水。そんなイメージから昨年、社会人になるタイミングにあれこれ物色しましたが結論、匂いってよく分からん……。
ハッキリしたのは、昨今ブームの“あの人を一瞬で沼らせる♡”なる濃密でスウィーティな香りは苦手なうえ、使用シーンも限られるってことくらい。
てなワケで、私的決め手は香り<物語。纏えば紳士と錯覚できるような重厚な名品はないものか……。と、鼻より脳みそで嗅ぎ回ればこちらがヒット。かの英雄も心酔したというロマンに理性を突かれました。
それが「4711(フォーセブンイレブン) オーデコロン」、オーデコロンの元祖です。
事の始まりは1792年、ドイツはケルン。ミューレンス社の創始者であるウィルヘルム・ミューレンスは修道士から貰ったレシピをもとに「アクア・ミラビリス(=不思議な水)」を製造しました。
それから4年後、フランス軍の命令でケルンのすべての建物は番号が振られることに。その時のミューレンス社の番号が“4711”だったのです。
次第に駐留仏軍の鉄板土産となった「アクア・ミラビリス」は「オーデコロン(=ケルンの水)」と呼ばれ、フランス中に広まっていきました。
一説によると、そのファンとして名高いのが大の愛“香”家で知られるナポレオン。当時ケルンを占領していた彼は、フランスで流行していた濃厚なムスクとは真逆の爽やかな香りに面食らって以来、1本15万円ほどしたというオーデコロンを毎日浴びるように愛用。皇妃ジョセフィーヌへもプレゼントした。な〜んて逸話もあるんです。
ほかにもゲーテやワーグナーなど、歴史に名を残す貴族が太鼓判を押した「4711 オーデコロン」。香りこそ別物ですが、日本で一世を風靡した「ポーチュガル」もこちらをもとに作られたと聞けば、皆さんも途端に親しみが湧いてくるのではないでしょうか。
そして驚くべきことに、200年以上経った今でもレシピは変わらずそのまま。天然の植物素材だけで作られた素朴な柑橘系なので、百貨店の複雑で甘い香りが苦手な私もこれならアリ。ビジネスシーンでも好印象かと◎
持続時間は体感で1時間弱なので、ちょっとしたリフレッシュタイムに一吹きするも良し、複数の香水をレイヤードして奥行きを持たせる「重ね付け」なんて上等テクにもピッタリ。ケチらず使えるお手頃プライスも助かります〜。

パリッと糊の効いた白シャツに、偉人も愛した爽やかな香りを纏えば、誰しも背筋がスッと伸びるかと。紳士どころか英雄気取っていざ、出勤しましょ‼︎

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マツエダ
新卒のビギナー編集者。読者だった父の影響で、中学生の頃から“一生モノ”に憧れる前途有望なビギン君だったはずが、金欠大学生時代を経て、気付いたらプチプラ主体の安っぽい青年になってしまっていた……‼ 名品をきちんと学んで買って、見た目も頭脳も大人になるぞ!
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写真/武蔵俊介