スリム化したのに暖かい!? フライトジャケットの“空城の計”
モダナイズが巧みすぎる軍師に訊いた[ジャパンミリタリーの最前線]
昔カタギのミリタリーをそのまま令和で着こなすのはチと不似合い。巧みなアレンジ力で今にアジャストしたジャパミリこそ着る価値あり! ってことでデザイナーという名の軍師たちに、古さを取っ払うための計略をお聞きしました。
デザイナーという名の軍師に訊きました

ア ボンタージ デザイナー
山川和恭さん
2003年スタート。欧米のミリタリー、ワーク、ドレス、スポーツウェアから着想を得ながら、今の空気感を閉じ込める術に長ける。国内工場との連携による圧倒的な質でも著名。
[A VONTADE]素材で攻略
「中わた入りのMA-1はカジュアル感が強く、着こなしの幅も限定されるイメージがあって、年齢を重ねると着回しが難しいと感じていたんです。そこで中わたがなく、個人的に大好きだったL-2をベースにしようと」。
そう思い立ったものの、インナーにウールフランネル地を配すことで、着膨れ感ゼロなのに保温性は担保。これって敵軍に城を空に見せて兵が潜んでいると思わせた、空城の計そのものじゃありませんか!
「WALDES社のジップをはじめ、ディテールはある程度オリジナルを踏襲しつつも、着丈や袖幅のバランス、袖付けの角度など、オリジナルがもついい意味での野暮ったさを残してスタイリッシュになりすぎないよう、パターンメイキングにもとにかく時間をかけました。スラックスやドレスシューズなどと合わせてもバランスよく馴染むはずです」。
A VONTADE[アボンタージ]
L2-A
オリジナルのL-2を参考に、福井の旗屋とタッグを組んで限界まで密に織り上げた撥水素材“66ナイロン”を使用。おかげで羽織り心地は柔らかいのに、シルキーな光沢とハリも共存。5万3900円(ブリックレイヤー)
ウールフランネルの裏地を採用
三国時代 魏軍に迫られた諸葛孔明による
“空城の計”
三国志演義で語り継がれる名軍師による奇策。魏軍に敗れた際、城門を開け放って兵士を隠し、空っぽの城に見せることで、かえって敵を警戒させて場内に踏み込ませなかったそうな。
※表示価格は税込み
[ビギン2024年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。