“連環の計”(M-48×M-51)が生んだ令和のモッズシルエット
モダナイズが巧みすぎる軍師に訊いた[ジャパンミリタリーの最前線]
昔カタギのミリタリーをそのまま令和で着こなすのはチと不似合い。巧みなアレンジ力で今にアジャストしたジャパミリこそ着る価値あり! ってことでデザイナーという名の軍師たちに、古さを取っ払うための計略をお聞きしました。
デザイナーという名の軍師に訊きました

オーベルジュ デザイナー
小林 学さん
98年にスロウガンをスタート。20周年の節目となる2018年に休止し、新たにオーベルジュを創設。服飾史に残る男服の永世定番を日本の技術力で現代的に編集&再生させる達人。
[AUBERGE]シルエットの攻略
数ある軍用ギアのなかでも屈指の人気を誇るモッズパーカですが、実は時代によって変遷があるって知ってました?
「目指したのは名画“青春の光”。劇中で60年代の英国のモッズたちが見せる洒脱なモッズパーカスタイルを再現するため、米軍が最初期に考案した“M-48”と、後継の“M-51”の特徴をミックスしました」。各モデルの旨みを抽出し、違和感なくブレンドする手腕こそ、まさしく小林さんの真骨頂!
「一枚袖のドルマンスリーブ形状でありながら前方向に振る、48にだけ存在するディテールを採用する一方、フードのサイズは小ぶりな51のバランスに倣ってみたり。それぞれの意匠をいいとこ取りしています。」
「さらに国内の名門生地メーカー、ダイワインターテックの協力のもと、打ち込みつつも柔らかさを犠牲にしない独自の撥水素材“オーベルジュクロス”を採用するなど、生地開発にも入魂。さまざまな角度から現代版モッズのバランスに仕上げました」。
種類の異なる計略を組み合わせて最強のデザインへと昇華する過程は、まさに連還の計のごとし。
AUBERGE[オーベルジュ]
クアドロフェニア
先染めしたタテヨコ異なる2色の糸を用いて織り上げた生地は、深イイ色調と撥水&柔軟性◎。未染色の羊毛で編み立てたボアライナーとセット。ちなみにモデル名は「さらば青春の光」の原題。16万600円(スロウガン)
オリジナルの撥水素材は柔らかさが格段にUP
ライナー付きの3way仕様
208年 赤壁の戦いで龐統がみせた
“連環の計”
蜀の軍師龐統は、敵対する曹操軍に潜入し、船酔いを防ぐため船を鎖で繋ぐよう進言。自陣に戻り鎖で繋がれた曹操軍の船に火を放つ。そんな環が連なるような策で、最大の戦果を挙げた。
※表示価格は税込み
[ビギン2024年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。