“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「軍モノだけど、クリーンに被れる」
アメリカ海軍のセーラーハット
TEACHER:Slat ディレクター 是永幸亮さん
今月は被りを嫌う真性のモノ好きこそ被るべき、米海軍のセーラーハットにフォーカス。
「一説によると1850年代頃から米海軍で採用されていた、めちゃくちゃ長い歴史を誇る名品。細かな意匠は時代とともに変わっていますが、大まかな仕様は変わっていません。日常の作業時から特別な式典の際まで、セーラーたちが幅広い用途で被っていたと思われます」。
最大の特徴はやはりその色と形。「オールホワイトで、ツバを下げたままでも、上に折り上げても着用できる2way仕様。軍物のハットは他にもありますが、大抵無骨になりすぎる。その点これはクリーンな雰囲気で、アイビールックにもいけるし、スポーツテイストのアイテムなんかとも合うし、幅広いスタイリングに馴染んでくれます。
買い付けにいく地域によっても異なりますが、海軍モノは陸軍や空軍よりも現地での買い付けが難しく、昔から一度に入荷する数もパラパラ。マイサイズを見つけたら即買いを推奨します」
[目利きPOINT]
内側のタグで年代とサイズがわかる
アメリカ海軍の
セーラーハット
「1990年代まではオールコットン、それ以降はポリ混素材に変わり、生地の風合いも色味も微妙に変わっています」。写真は希少なオールコットン時代の1987年製。サイズと採用年度が内側のタグで判別できるのも、ミリタリーギアならでは。5390円(スラット)
折って被ると水兵風、そのまま被るとセルピコ風
「ツバに隙間なくステッチが施されているおかげで、ハリが増し、下げたままでも、上げてマリン風に被ることも可能。1973年公開の名画〝セルピコ〞で、アル・パチーノ扮する主人公セルピコが見せたセーラーハット姿は、アメカジ好きの教科書としても著名です」

Slat ディレクター
是永幸亮さん
古着のメッカ、東京・高円寺で2006年にオープンした人気店のキーマン。買い付けのために一年の半分近くを米国で過ごす行動派。
※表示価格は税込み
[ビギン2023年6月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人