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私はお酒が飲めない体質、いわゆる下戸である。それなのに、あるいはそれゆえにだろうか。カッコいい大人の世界に対して、なみなみならぬ憧れを抱いている。

たとえば、バーなどはその最たる例だ。ソフトドリンクしか頼めないのに入るのはしのびないため、バーを訪れた経験はほとんどない。なので、私の抱いているバーのイメージはドラマや漫画などの創作物から得た情報からの妄想でしかないが、行きつけのバーがあるなんて、いかにも大人!という感じでカッコいいではないか。

明るすぎず、落ち着いた内装のバーに、仕事終わりにふらっと一人で入店する。カウンターに腰かけ、気さくなマスターや、たまたま居合わせた他の常連客たちとの会話を楽しみながら、ゆっくりとグラスを傾ける。そんなシチュエーションで飲むのはもちろん、キープしたボトルのウィスキーに決まっている。

……などと、想像をふくらませてみたところで、お酒が飲める体質になれるわけでもないので、ボトルキープなんて夢のまた夢だ。しかし私は、文房具マニアでる。キープできるボトルはないが、キープできるメモ帳ならあるのだ。

というわけで今回紹介するアイテムは、飲んだところまでならぬ、書いたところまででページをキープしてくれて、次に開くときに新しいページをパッと出してくれるバーのマスターのようなメモ帳、ミドリの「リングメモ パッと」である。「メモパッド」ではなく、「メモ パッと」なので、お間違いなきよう。

こちらは、一見すると普通のリング型のメモ帳のようだが、よくよく観察するとメモ用紙の左側だけが糊づけされている、というところがミソである。上部の一辺だけが糊づけしてあって、使い終わったページをペリペリとはがすタイプのメモ帳があるが、その糊づけ部分が側面にあるイメージだ。1ページ書き終わるたびに、ペリペリとはがして、後ろにまわす、という流れで使用する。

これの何がいいかというと、まだ使っていないメモ用紙が、常にひとかたまりになることだ。つまり、「メモを取りたい!」と思ったときに、パッと一瞬で新しいページまでめくることができるのである。

急いでメモを取らなきゃ!というときに、普通のメモ帳だと新しいページを探してわちゃわちゃしてしまいがちだが、ワンアクションでシュパッとスタンバイ状態になれるのは、とってもスマートだ。慣れれば片手だけで、メモ帳を閉じた状態から、手首の返しではがしたページだけをヒュンッと後ろに回す、なんて芸当も可能である。

その昔、ジッポライターをいかにカッコよく開いて火をつけられるか、みな競って練習していた時代があるが、まさにその趣きに近いカッコよさである。私がもし仕事仲間で、そんなメモさばきを見せられたら、「この人仕事できそう!」と一気に信頼度が増してしまうこと請け合いである。

表紙は丈夫なPP製(合成樹脂)なので、バッグやポケットに入れたときにも中のメモ用紙をしっかり守ってくれる。中紙には、書き心地の良さに定評があるミドリのオリジナル原紙「MD用紙」(色はホワイト)が使われている。ボールペンやシャープペンシルのほか、万年筆でもスラスラと書けて、気持ちよくメモを取ることができる。

罫線は、2.5mmの細かい方眼罫だ。文字だけでなく、ちょっとした図やスケッチも描きやすい。また、用紙の縦横を選ばないので、横むきにしてPC作業をする時にキーボードの手前に置く、といった使い方もできる。

カラーバリエーションは黒と白が定番だが、今なら限定カラーのグレー、ピンク、オレンジ、紺も選ぶことができるので、気になる!という方は、ぜひ早めにゲットして欲しい。

カッコいい大人にあこがれつつも、お酒も飲めず、タバコも吸わない私は、「リングメモ パッと」をカッコよく開く練習を夜な夜な積み重ねて、あこがれに少しでも近づきたいと思う。そもそも、カッコいい大人がメモ帳をカッコよく開く練習をするものなのか?という点については、今は考えないようにしたい。

 

リングメモ パッと(ミドリ)

352円

https://www.midori-store.net/SHOP/11555006.html

※表示価格は税込み

ヨシムラマリ

ヨシムラマリ

ライター/イラストレーター。神奈川県横浜市出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。元大手文具メーカー社員。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。

文房具(グ)ルメとは? 価格やブランド名だけでは価値が計り知れない、味わい深い文房具の数々。フランス料理店でシャンパングラスを傾ける記念日もあれば、無性にカップ麺が食べたくなる日もありますよね? そんな日常と重ねあわせて、文房具に造詣の深い気鋭のイラストレーターが気になるアイテムとの至福のひとときをご紹介!

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飲んだところまでならぬ、書いたところまでページをキープ「リングメモ パッと」

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