特集・連載
“通しか知らない”をサクッと学ぶ[10minutes ヴィンテージ]
「通のハートを射抜く骨太かつ超キャッチーなタグ♡」
10minutes VINTAGE ヴィンテージ=難しい? ノンノンノン♪ 通しか知らない名品も、目印を頼ればビギナーでも簡単に発掘できちゃうんです。その道のプロが、目指すべきターゲットと、その判別テクをサクッとレクチャー。10分後はあなたもヴィンテージ通! この記事は特集・連載「10minutes VINTAGE」#26です。
カーハートのハートタグ
TEACHER:Grab(グラブ)スタッフ 牧野悠平さん
名作ワークがゴロゴロ転がるアメリカンヴィンテージ界にも、これは抜きん出て王道!と周知される、不朽の名品が存在します。その代表選手が、このカーハートの“ハートタグ”です。
「これは1930年代から1960年代にかけて採用されていたと言われる、ハートモチーフのブランドロゴを採用した、カーハート製品の総称。」
「希少性が高いのは言うまでもなく、とにかく見た目がキャッチーで、ひと目でハートタグと判別できる、つまり“わかってる”を無言でアピールしてくれる定番ヴィンテージとして、長らく人気を集めています」。
ショップを巡った際にも発見しやすいから、ビギナーにも優しい♪……というのももちろんですが、長年通から支持されるのには理由があるんだそう。
「単純にクオリティが高い!……というか、後年の製品よりも味があるんですよね。リーバイス等も同じですが、この頃のワークギアは完成形と称される名作が多い。例えば定番のブラウンダック製品も、後年のものよりハートタグのほうがブラウンの色みが濃くて趣深い。」
「ただ年代が古いものなのでタマ数も少ないし、良コンディションのお宝を見つけるのが難しい。汚れやキズを“味”と捉えられる服好きにはオススメですね」
カーハートのダックパンツ
希少な’50年代のブラウンダックワークパンツ。穿き込まれて、さながらデニムのように味わい深〜いアタリが出てるのも、生地がタフだからこそ。ハートロゴ入りのサスペンダーボタンをはじめとする、通好みな意匠もギッシリ♡ ブランケット裏地付きだからヘビロテしてもへっちゃら♪ 4万4000円(グラブ)
小穴すら“味”に転じさせる濃いダック地
ハートタグにも種類がある!?
実はひと口に“ハートタグ”と言っても、年代によって変遷あり。注意深く見ないと判別しにくいが、細かな違いがあるのも、コレクターたちの心をくすぐるポイントなのだ。
[’30s〜’40s]ハートタグ黎明期に存在していた単色版
[’40s〜’50s]ハート内のブランド名がブルーになった2色版
本記事掲載アイテムのハートタグはコチラ
[’50s〜’60s]刺繍からプリントタグに変化
数あるブランドの中でも、タグの変遷がとくに多いことでも知られるカーハート。ハートタグひとつとっても、実はさまざまな変遷が。上はその代表例で、単色の刺繍から2色の刺繍、プリントタグへと変化。通たちが品定めする重要ディテールなのだ。
オーバーオールも要チェック!!
ハートタグはブラウンダック地の製品だけに備えられてるわけじゃなし。玄人が好むデニム地のカーハート製品なんかにも当然ONされてます。こちらは’40年代~’50年代製のレアすぎるオーバーオール。5万5000円(グラブ)
Grab(グラブ)スタッフ
牧野悠平さん
米国の王道ヴィンテージを全網羅する広島の人気店。2か月に1度のペースで海外へバイイングに繰り出し、お宝をハントし続けている。
※表示価格は税込み
[ビギン2021年5月号の記事を再構成]写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/黒澤正人 イラスト/TOMOYA