特集・連載
一緒に年を重ねていけるカウンター“一枚板マニア”開さんの一生モノ
とことん使える一生モノ また値上げぇ~!?と、こっちが音を上げてしまいそうな昨今の日本経済……。でもしょげてばかりじゃいられない。モノ好き賢者の成功体験を聞きながら、結局得する「一生モノ」をオールジャンルで紹介します。 この記事は特集・連載「とことん使える一生モノ」#27です。
好きが高じて仕事に影響しちゃう人、もしくは仕事が趣味に転じてヌマっていく人、オタクの形は人それぞれ。ヘンタイな偏愛者さんの超マニアックな一生モノをお見せします。
「このカウンターは88年前から暖かくお客様の声を聞き続けています」
―マスター 開 幾夫さん
昔からの伝統を重んじるバーでは、一枚板のカウンターを使うお店が多かったように思います。合板や大理石なんかも悪くはないけれど、やっぱり一枚板は木の温かみを感じるし、お客様もよりホッとしているように感じます。
木の材質を選べば傷も味になり、末長く、一緒に年を重ねていける。ルパンの象徴とも言えるこのカウンターも乾拭きだけでここまで味わい深く育ってくれました。
その場所の風景に溶け込んでくれるのが一枚板の魅力です
ヤチダモの一枚板カウンター
1935年設置。ビルが建て変わっても使われ続けている同店の象徴。寒冷地でゆっくり育ったヤチダモの木で作られているため、目が詰まっていて極めて堅く、経年劣化しづらい。
太宰治や坂口安吾を筆頭に数々の文豪が愛した名店
住所.東京都中央区銀座五丁目5番11号 塚本不動産ビル地階
営業時間.17:00~23:30(ラストオーダーは23:00)
定休日.日・月曜
マスター
開 幾夫さん
1951年生まれ。学生時代からバーでアルバイトを始め、半世紀以上シェイカーを振るレジェンド。自らはハイボールをこよなく愛す。
“今買える、自慢したくなる一枚板はコレ”
300年以上かけてじっくり育った、堅く、重く、水に強い赤ムク
トリノキファニチャーのムクノキのダイニングテーブル
推定樹齢320年のムクノキを、乾燥に10〜15年かけ、仕上げまで全て熟練職人の手で行った逸品。木の脂を豊富に含んだ赤ムクは、密度があり、粘りもある超良材。一生どころか何世代も使えることを考えると決して高くないはず。93万2000円(トリノキファニチャー)
※表示価格は税込み
[ビギン2023年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。