特集・連載
憧れが本当に自分のものになった“バイクマニア”赤荻さんの一生モノ
とことん使える一生モノ また値上げぇ~!?と、こっちが音を上げてしまいそうな昨今の日本経済……。でもしょげてばかりじゃいられない。モノ好き賢者の成功体験を聞きながら、結局得する「一生モノ」をオールジャンルで紹介します。 この記事は特集・連載「とことん使える一生モノ」#25です。
好きが高じて仕事に影響しちゃう人、もしくは仕事が趣味に転じてヌマっていく人、オタクの形は人それぞれ。ヘンタイな偏愛者さんの超マニアックな一生モノをお見せします。
「普通に始動できるようになった時、憧れが本当に自分のものになった」
―マルキシ 赤荻 聖さん
40代でバイクにリターンして以降、マニアな旧車を乗り継ぎ、以前はカワサキの「Z1-R」を所有。パワーがあって気に入ってましたが、車体が大きく、だんだん手に余るように。そんなときにオークションで見つけたのが、単気筒で車体が軽いドゥカティの「450デスモ」。
若い頃一番憧れたモデルでしたから、“人生最後のバイクはこれか!?”と興奮し、出品者から詳細な情報を聞いた上で落札。その後3ヶ月にわたり信頼できるお店で整備してもらい、この春に納車となりました。
じつは最初の頃は乗るたびに買ったことを後悔。このバイクはセルボタンがなく、始動はキックのみ。このコツが全然つかめなかったんですよ。しかもキックがとても重く、ケッチン(踏み込んだペダルが猛烈な勢いで戻ってふくらはぎなどを強打すること)をくらうと悶絶。しょっちゅう路上で汗だくで放心してました(笑)。
それでも絶対乗りこなそうと頑張ったのは、この美しいデザインの力ですね。70年代のイタリアらしいエンジンの有機的な造形などは見るたびに惚れ惚れ。それでいて走るとさすがドカ、なかなかに速い。
もちろん旧車ですから常に調子を見ながら走ってますが、今日は吹けがイマイチだとか、こうすれば綺麗にコーナーを回れるんだな、なんてバイクと対話しながら走るのは楽しいもの。何より、40年間の憧れを走らせている感動が、毎回のツーリングを密度の高いものにしてくれるんですよね。
ドゥカティの450デスモ
L型2気筒エンジンが代名詞のドゥカティだが、かつては単気筒の名車も多く輩出。赤荻さんが所有する74年製モデルは元祖カフェレーサーとも言える存在で、デスモ系シングルの中でもとくに希少な450CCエンジンを搭載。ちなみにお店での相場は現在250万円以上。
眺めるだけで満足な価値あるバイクを元気に走らせる幸せ
セパハンのレーシーなスタイルに気分が昂る!
眺めるたびに惚れ惚れしてしまうエンジンの有機的造形
マルキシ 営業統括部長
赤荻 聖さん
数々の人気ブランドの企画やプロデュースなどを経て、現在は老舗生地商社にて活躍。車はオースティン ヒーレー スプライトを所有。
[ビギン2023年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。