特集・連載
“ミニマムな道具で旅をこなすのがポリシー” 鈴 琢磨さんの一生モノの鞄
とことん使える一生モノ また値上げぇ~!?と、こっちが音を上げてしまいそうな昨今の日本経済……。でもしょげてばかりじゃいられない。モノ好き賢者の成功体験を聞きながら、結局得する「一生モノ」をオールジャンルで紹介します。 この記事は特集・連載「とことん使える一生モノ」#08です。
「最近はもっぱら国内派で年3~4回遠出します」―ウールリッチ ジャパン 鈴 琢磨さん
グローブ・トロッター好きが高じて5年前についにオーダーで作ってしまったのがコイツ。もともと「エアキャビン」は英国海外航空(ブリティッシュ・エアウェイズの前身)のパイロットが使っていたモデルで、オリジナルはオールグレー。
本当はそれと同じ色にしたかったんですが、先方に当時の濃いグレーの用意がなかったため、コーナーを含めてライトグレーで統一することに。金具をゴールドにしたことでどこか柔らかな雰囲気に仕上がりました。
完成まで約1年かかり、お値段もかなりのものでしたが、それだけの価値がある鞄ができたと満足しています。あまりにも気に入って、国内の出張や旅行は基本これで済ませてしまうほど。小さく見えて意外と収納力も高く、機能素材の服を選ぶなど荷物をミニマムに徹すれば3泊程度なら十分です。
行く先々で素敵な鞄ですねと褒められ、自分もショーウインドウに映る姿を眺めてはニンマリしていますが、車輪のないストイックなデザインは、やはりなかなかの苦労を強いてくる(笑)。荷物を詰め込むと腕なんかもうパンパン。でもそもそもトロッターは、気持ちや心意気で持つもの。
時々その気持ちが折れそうになりますが(笑)、そうした苦労も今の時代にはある意味贅沢で、人生を豊かにするエピソードに繋がるんじゃないのかなと。一生愛せる品が欲しいなら、利便性ばかりを追求していてはいけないと、この鞄が改めて教えてくれた気がしています。
ミニマムな道具で旅をこなすのがポリシー
ウールリッチ ジャパン マーケティング部 部長
鈴 琢磨さん
数多くのブランドのPR&マーケティングに携わり、海外出張経験も豊富。トロッターは他に2輪付きの18インチと26インチを所有。
グローブ・トロッターのエアキャビン(ビスポーク)
「苦労に見合うだけの喜びや高揚を与えてくれる最高に贅沢な鞄です」
オリジナルに敬意を表して、外装をライトグレーのトーン・オン・トーンでオーダーした鈴さん特注の「エアキャビン」。内装は汚れを厭わず潔く純白、蓋を接続するベルトは革ではなく、あえてバーガンディーのキャンバスにするなど、細部までこだわった逸品だ。同モデルのビスポーク29万1500円〜(グローブ・トロッター 銀座)
サイドには鈴さんの愛称“BELL”を控えめにプリント
※表示価格は税込み
[ビギン2023年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。