特集・連載
「あくまで主役はスーツ。 脇役に徹してもらうため“じゃないほう”を選びました」ベル&ロス
センスがエグい腕時計ガイド ビギンは考えました。センスがいい人は、腕時計選びの背景にも光るものがあるはずだ。時計との巡りあわせは、時にその人の生き様までも垣間見えるのです。だからこそ、えげつないセンスを感じさせる愛機の選び方を知りたい! 時計は、持ち主の味(センス)が現れるものだから。 この記事は特集・連載「センスがエグい腕時計ガイド」#30です。
麻布テーラー 上月 剛さんの俺的名作時計
【ベル&ロス】BR126 ヴィンテージ オリジナル カーボン
ベルロスと言えば、やっぱりゴツくて四角いBR01が大看板。昔ラルフ ローレンの広告でモデルが着用しているのを見て以来、ずっと憧れていました。
でもあくまで自分はスーツ屋。時計を選ぶ際もそのマインドが抜け切らず、あえてラウンドのBR126をチョイスしたんです。やっぱりスーツとの馴染みは、こっちのほうが断然上だと思って。おかげでベルロス被りはしても、皆さんほとんど角型で、同じモデルを愛用している方に出会ったことがない。そんなオンリーワン感も魅力でしょうか。
諸先輩方から黒い靴には黒いベルトという男服の鉄則を教え込まれていたので、時計もそれに準じて黒文字盤に馴染む黒ベースのリボンベルトに変更。するとこれが想像以上に使い勝手がいい。クロノグラフはただでさえスポーティに見えがちだし、自動巻きだから10mm以上の厚みもあるんですが、モノクロ効果も奏功してか、全然安っぽく見えないんです。
存在感はあるけど、ほんのり品も漂っていて、スーツに遊びを加えたい時に、実にいい仕事をしてくれる。憧れより使い勝手を優先してよかったと、昔の自分を褒めてあげたいですね。
それと個性を活かす麻布テーラーとしておすすめするのが、シャツのカフ周りの幅を、右手と左手で変更して時計を着用するというもの。僕の場合は左を1cm大きくして、厚みのある機械式でももたつかず、カフスの中にすっぽり収まってくれるように配慮しています。
フとした時に少しだけフェイスが覗くようにカフ幅をアレンジ
ベル&ロス
BR126 ヴィンテージ オリジナル カーボン
SSケースにブラックカーボンのパウダーコーティングを施した珍品。径41mmと比較的大ぶりだが、付属のブラウンレザーベルトからモノクロのリボンベルトに変更することで、引き締まった印象に。100m防水と実用性も高いことから、普段からガシガシ使うそう。
麻布テーラー ディレクター
上月 剛さん
体と感性にフィットする、パーソナルオーダーで人気の麻布テーラーの舵取り役。ネームバリューより使い勝手で時計を選ぶのがモットー。
[おいしい時計選びの極意]着用した姿を想像して実用性重視で選ぶ
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。