特集・連載
「慎ましい顔のボーイズサイズがカフスの先に馴染む」ロレックス
センスがエグい腕時計ガイド ビギンは考えました。センスがいい人は、腕時計選びの背景にも光るものがあるはずだ。時計との巡りあわせは、時にその人の生き様までも垣間見えるのです。だからこそ、えげつないセンスを感じさせる愛機の選び方を知りたい! 時計は、持ち主の味(センス)が現れるものだから。 この記事は特集・連載「センスがエグい腕時計ガイド」#05です。
セプティズ 玉木 朗さんの俺的名作時計
【ロレックス】オイスター デイト
10年ほど前までは色々コレクションしていたんです。それこそロレックスだって5本くらい持ってたし、ミッキーウォッチにスウォッチのジェリーフィッシュにチープカシオに……ミーハーだったから手広く揃えてました。
けど還暦を迎えて、いい加減終活しなきゃなって(苦笑)。売ったりあげたりでみんな手放していったなか、最後まで残ったのがこのオイスター デイトだったんです。
買ったのはもう40年くらい前。まだ中古時計という概念自体がなくって、今みたいにロレックスの二次市場も開かれてはいなかった。
というか当時のロレックスはまだ“オジサン時計”というイメージが残っていて、今みたいな“高級”というイメージより、どちらかと言うと“実用”というポジションだったように思います。サブマリーナーだって魚屋のおじさんたちが普通に着けてましたからね(笑)。
ただそんななか、あるアメリカ帰りの先輩が“NYのセレブが昔のロレックスを着けはじめてるから日本でも流行るかも”って商売し始めたんです。そこで自分も何本か購入したんですが、やっぱり一番気に入っていたのがこれ。
カフスに干渉しないボーイズサイズといい、珍しいギョーシェ掘りのされた文字盤といい、個性的だけどこれみよがしなロレックス感がなくて品を感じる。ギターを弾く時にもオシャレする時にも邪魔にならないように、右手首の先端に着けるのが自分流。死ぬまでこの定位置を守ってもらおうと思っています。
- 1950年代から80年代まで製造されていた隠れ名品
- デイト表示を備えただけのシンプル手巻き
- 文字通り貝のように水に強いSS製オイスターケース
ロレックスの数ある名機の中でもとくに息の長いRef.6466。デザインバリエも多岐にわたっているが、玉木さんの愛用品には珍しいギョーシェ文字盤が採用されている。径30mmちょっとのボーイズサイズはシャツのカフスに抵触せず、使い勝手はピカイチとか。
趣味のギターの邪魔にならないよう右手首の先端に着けるのが鉄則
セプティズ 代表
玉木 朗さん
2002年、三軒茶屋にオープンした人気セレクトショップのオーナー。多彩なジャンルの永世定番に精通し、コレクションも多岐に亘る。
[おいしい時計選びの極意]10年後の自分の姿を想像して選ぶ
[ビギン2023年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。