特集・連載
今日から始める美味しい暮らし[ベジカジライフ]
英国好きとして手離せない庶民派な王室御用達ブラシ
週末農家・坂下史郎のベジカジライフ 「ビジカジ」に始まり、あらゆる分野でカジュアル化が加速する昨今。次のジャンルは?と問われれば、それはズバリ、ガーデニングである! 週末農家・坂下史郎さんが徒然なるままに書き連ねる、ちょっぴり土臭くて小粋なガーデニング放談。 この記事は特集・連載「週末農家・坂下史郎のベジカジライフ」#06です。
週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
ヒルブラシのブラシ
うちの庭で育て始めて今年で3回目の春を迎えたニラ。古くは「美良(みら)」と呼ばれていて、それが変化してニラに落ち着いたらしい。
この野菜の何が良いって、まずとても経済的なところ。一度植えると冬に枯れても根は生きていて、春になれば元気な葉を伸ばし、それを収穫して……というサイクルが4〜5年も続く生命力がある。収穫してひと月足らずで、採った分以上に葉が増えていた、なんてこともざらだ。
この生長→収穫→生長の営みを繰り返し、夏の暑さがひと段落する頃、ニラは白い花をつける。中心から伸びた茎の頂上に30輪ほどが寄り添って咲くのだが、これが1年を通して庭に咲くなかで最も好きな花の一つだ。
素人フォトグラファーの私にとっては最高の被写体で、その可憐な姿を色んな角度から撮りまくっている。その後秋から冬にかけて枯れ始めると、今度は茎が独特のまだら模様となり、そのコントラストもたまらなく好きなのだ……と、庶民的なイメージのニラが、一シーズンを通してこんなにも様々な美しさを見せてくれる。
今回ニラと一緒に紹介する道具を考えていると、ニラを束ねたボサボサ感からふっと愛用のブラシたちを連想してしまった。自分は昔からブラシの手触りフェチらしく、街でもその類が売られていると、つい立ち止まって感触を確かめずにはいられない。
そしてついこの前、衝撃的なデッキブラシに遭遇した。なんと、ヘッド部分にロイヤルワラントがスタンプされているではないか! 英国モノもまた、バイヤー時代から思い入れの深いブランドもあり、大好きなジャンル。そんな自分の好みが合体したような「英国ブラシ」となればそれはもう……即決だった。
>> この続きは5月16日発売の「ビギン7月号」でご覧ください!
ヒルブラシのブラシ
2022年に創業100周年を迎え、ロイヤルワラントも保有する英国の老舗ブラシメーカー。細々としたネイルブラシからデッキブラシ(奥)まで、ラインナップも幅広い。左からネイルブラシ1188 円、ショートハンドルブラシ5390円、ハンドブラシ3960円(ヒルブラシ)
①ネイルブラシの背面にある1列の毛は、爪の間の泥汚れを繊細に掻き出してくれる。手触りもまた心地よい。
②デッキブラシのワラントはエリザベス女王のもの。千駄ヶ谷の「LABOUR AND WAIT」で購入。
③これが昨秋咲いたニラの花。雨上がりを見計らって、古い単焦点レンズで撮影。
坂下史郎
さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来毎週末の山暮らしがルーティンに。自身が手掛けるブランドの一つである「迷迭香」には、その趣向を反映させた街⇄アウトドアで活躍する機能服が豊富に揃う。
※表示価格は税込み
[ビギン2023年7月号の記事を再構成]文/坂下史郎 写真/丸益功紀(BOIL)