特集・連載
HOTな話の水先案内人・岩井祐二のひとり【情熱西陸】vol.13
「出会いの確率がめっぽう高い移動型USEDショップ」
『カジカジ』元編集長・岩井祐二の情熱西陸 関西の伝説的雑誌『カジカジ』の元編集長が、ウエストサイドのHOTなネタを“一人で写真を撮って原稿を書いて伝える”情熱連載! この記事は特集・連載「『カジカジ』元編集長・岩井祐二の情熱西陸」#13です。
DELICIOUS STORE【デリシャスストア】
一期一会に後生一生。そのとき、その場所、すべてのタイミングが揃わなければ出会えない人や物ってありますよね。さまざまな文脈の上に成り立つ出会いは偶然でありながらも必然で、そうして手に入れた関係や物は忘れ難い思い出として心に残ります。
そんな機会を与えてくれる場所やお店って多くはないですが、今回紹介する『デリシャスストア』はその一つだと僕は思っています。
ヴィンテージショップで長年経験を積んで独立した満田啓介さんが手掛けるこのお店は、固定した場所を持ちません。オンラインストアも展開しておらず、各地で行われる年に数回のポップアップショップのみで運営。
大阪を中心に、京都や滋賀など、2018年のスタートから数えて14回ものポップアップショップ(単独以外ではそれ以上)を展開しており、そのどれもが盛況という稀に見る存在なのです。
満田さんが愛してやまないオールドのスケートものやステューシー、パタゴニアを中心としたアウトドアウェア、そしてさまざまな要素を含んだアメリカンヴィンテージがラインナップの中核で、そのクオリティは関西の色濃いUSEDショップの中でもトップクラスの安定感を誇ります。
それに加え、ポップアップショップごとに、満田さんの気分やムードを表した主観的な提案もあり(取材時には変わり種のクラークスが大量に!)、訪れるたびに違う表情を見せてくれるとあって、開催を楽しみにしている顧客が多いというのも合点がいきます。
古着との出会いは一期一会。限られた場面でしか会えないからこそ、その確率を高めてくれる『デリシャスストア』は、僕らにとってまさにオイシイ存在。本当は教えたくないお店の一つなんです。
写真の通り、ラインナップの振り幅は広く深い。コンバースやリーバイスのデニムといった定番はもちろん、着眼点が面白いアウトドアものも必見。毎回、微妙にニュアンスが変わっていくのも興味深く、その時々で楽しみ方がアレンジされている。
大阪の有名古着店に勤務後、2018年から『デリシャスストア』を展開。サーフィンとヴィンテージを愛するナイスガイ。
インスタグラムアカウント/@deliciousstore_osaka
IMA:ZINE
岩井祐二さん
雑誌「カジカジ」の元編集長で、西側のコアなカルチャーを熟知した関才人。現在は、大阪を代表するセレクトショップ「イマジン」のボスだ。もちろん好きなプロ野球球団は、阪神タイガース。
[ビギン2023年5月号の記事を再構成]写真と文/いわい イラスト/TOMOYA