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キュー・ガーデンズのレザーグローブ

週末農家・坂下史郎のベジカジライフ
キュー・ガーデンズのレザーグローブ

遡ること7年前。「子供に自然を感じてもらいたい」という思いと、趣味のアウトドアに興じる環境を作りたくて、都心部の自宅とは別に近場の山梨・塩山に拠点を構えた。本来なら今頃はトレイルランニング、キャンプ、フライフィッシングなどに精を出しているはずだったが、どういうわけか今はガーデニングに没頭している。

きっかけは、パタゴニアのお店で見かけたアリス・ウォーターズの本だった。彼女の哲学が詰まった一冊のレシピ本なのだが、彼女の営む「シェ・パニーズ」というレストランなどいろいろと知るうちに、あれよあれよとガーデニングの世界に引き込まれた。

なにぶん好奇心旺盛な性分(ミーハーともいう)なもので、本を読み終える頃には心が決まっていた。彼女の理念に倣い、「食べられる庭」を作ろうと。そう、オシャレに云うと“エディブルガーデン”である。

勢いそのままに庭を整え、「さあ何から植えようか」と“植物、初心者、簡単”と検索したら、最初にヒットしたのが「ローズマリー」だった。手始めに1株だけ植えたら、これがよほど土地に合っていたらしく、今では庭の結構な面積を占めるほどに育った。

自ら剪定したローズマリーはやはり愛着がわき、山から街に戻る運転中の車内でも爽やかな香りを感じさせてくれる。そんな折、ガーデニングやアウトドア、もちろん街着としても気兼ねなく着られる服を作ろうと思い立ち、そのブランドを「迷迭香(マンネンロウ)」と名付けた。迷迭香とは、ローズマリーの和名なのだ。

この7年間で買い集めた道具やウエアにも、思い入れのあるものがいくつかある。その中の一つが、ロンドン出張の合間に訪れた王立植物園「キュー・ガーデンズ」のガーデニンググローブだ。

世界遺産にも登録されているその植物園は、ビクトリア時代の建築であるアイアンとガラスで造られたお城のような大温室、見学の道すがら前から孔雀が普通にヒョコヒョコ歩いてきたりして、日本ではまずお目にかかれない光景が広がっていた。世界中の植物が美しくレイアウトされ、それを大勢のガーデナーが愛情を込めて黙々とメンテナンスをしている姿に、とても感動したのを覚えている。

その熱が冷めやらぬうちにスーべニールショップに足を運び、気づけばこのグローブを手に取っていた。硬い枝やささくれるものに対しては、こういう厚手のレザーグローブが大変重宝する。使う頻度はそう多くないが、今となっては素人ガーデナーとなるきっかけを作ってくれた、思い出深いグローブなのだ。

キュー・ガーデンズのレザーグローブ

キュー・ガーデンズのレザーグローブ

イギリスのロンドン郊外にある王立植物園のオリジナルマークがプリントされたレザーグローブ。手首の紐を締めれば土も入らず、ライ二ング付きゆえ防寒用としても重宝する。現在は一時的に生産がストップしており、相場価格は7000~8000円ほど。(※編集部調べ)

キュー・ガーデンズのレザーグローブ

①トゲのある植物の手入れには特に手放せない。購入から7年経ち、すっかり手に馴染んできた。

キュー・ガーデンズのレザーグローブ

②表地のプリントもさることながら、穿き口から覗く赤い裏地もお気に入り。

ローズマリー

③一般的に肉や魚料理に使われることの多いローズマリーだが、じつはポテトサラダに少し混ぜたりしても美味しい。

ローズマリー(ROSEMARY)

ローズマリー

●シソ目シソ科
●全長:0.5~1.8m
●生態:一年草
●原産地:地中海沿岸

[一口メモ]いつでも収穫できる常緑低木であるうえ、幅広い用途があるため、庭に1株あると便利。

今回のひと皿
ローズマリーソテー

ローズマリーソテー

ローズマリーとニンニクを炒め、香りが出てきたら塩・胡椒した牛肉を投入。食欲そそるニンニクと、摘みたての超フレッシュなローズマリーの香りのバランスが絶妙。塩山にはワイナリーが沢山あり、そこで調達した地ワインといただくのがまた格別なのだ。

坂下史郎

坂下史郎

さかしたしろう/1970年生まれ。セレクトショップや著名ブランドのMD職を経て独立。2015年から都内と山梨・塩山での二拠点生活を始め、以来毎週末の山暮らしがルーティンに。自身が手掛けるブランドの一つである「迷迭香」には、その趣向を反映させた街⇄アウトドアで活躍する機能服が豊富に揃う。

連載[週末農家・坂下史郎のベジカジライフ]
公式アカウントでも発信中!

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※表示価格は税込み


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