ヴァルカナイズ・ロンドン 田窪寿保さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #092
「マクラーレンにも匹敵する後世に残すべき軽自動車である」
ヴァルカナイズ・ロンドン 代表 田窪寿保さん
マクラーレンといえば、スポーツカーのなかでもスーパーカーに分類される最高峰です。優れたハンドリング性能をはじめ、走ることの楽しさを極めたクルマ。それに勝るとも劣らないドライブを楽しめる国産車があるんです。それもまさかの軽自動車で。
「エスロクロクマル」は、排気量660ccの軽自動車規格だけど走りはスポーツカー並みという、世界中見渡してもコレしかないクルマ。エンジンを真ん中に置くミドルシップエンジンとリアドライブ方式を採っていて、前後の重量配分がほぼ一緒。そして全長は極端に短い。
だから、ハンドルを切って曲がるイメージと、実際の動きとのブレがかなり小さく、レスポンスも超クイックになるんです。自らの手で操る感覚をここまでダイレクトに味わえるクルマは、ハイクラスなスポーツカーにだってそう多くないはずです!
じつはこのクルマ、今年の3月で生産終了に。MT限定、2人乗り、もちろんレギュラーガソリンと、今の時代に逆行するかのようですが、古いクルマが大好きな僕は、これは間違いなく軽自動車最後のスポーツカーとして後世に残すべきだろうと、購入を決めましたね。まるでミニカーみたい。
でもその凝縮感のある見た目から感じるパワフルさ、実際に触って操って楽しい趣味性の高いスポーツ車ということで、僕は“盆栽マクラーレン”と呼んでいます(笑)。
HONDA[ホンダ]
S660 モデューロ X Version Z
軽自動車の分類ながら、スポーツカーの走る楽しさを極めたホンダの「S660」シリーズ。その最後の一台「Z」は、あらゆるオプションが組み込まれた究極体だ。定価320万円弱に対し、中古価格は400万円前後に。(編集部調べ)
ヴァルカナイズ・ロンドン 代表
田窪寿保(たくぼとしやす)
1966年生まれ。英国ブランドの聖地「ヴァルカナイズ・ロンドン」を運営する「BLBG」の長。サーキットでの自動車レースに参加するほどのフリークで、最初期型のNSXを30年近く愛用する。
[ビギン2022年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。