メンテナンス大全集 ほつれ
靴はいつもピカピカなのに革小物はチョットなアナタ、革小物にも愛情注いであげませんか? メンテ達人直伝のスゴ技を駆使すれば、革小物が新品のように生まれ変わるだけでなく、周囲のアナタを見る目も変わりますよ!
じつはステッチのほつれは対応が大事!
Before
【1】これがステッチが切れた状態
革小物のステッチは、上糸と下糸が絡んで引っ張り合うことで強度を高めている。なので切れた糸端を引っ張ると際限なくほつれがち。
【2】下糸を引き上げる
まず上糸を引くとつられて下糸の輪が出てくるので、そこを目がけてキリなどでゴマ粒ほどの接着剤を塗布し、断層中央まで押し込む。
【3】キリの先に接着剤を付け糸を押し込む
この写真はイラスト2の状態。下糸の輪は革断層の真ん中まで深く押し込んで接着剤で固めてしまえば、再びほつれる心配がない。
【4】余った糸をカットして完成!
輪を押し込んだら、接着剤が乾くまで10分ほど待つ。最後に余った糸をギリギリでカット。ほつれの痕跡のない美しい仕上がりだ。
After
進行を最小限に食い止めるべし
綻び始めると取り返しがつかないのは、男女の仲だけではありません。革小物の縫製もしかり。
「とくに擦れがちな折り目部分の糸が切れやすく、一旦ほつれると綻びが進みがち。解決策としては、キリなどの尖ったものに革用接着剤を付けて、糸ごと革の断層内に押し込み、ほつれを最小限に食い止める方法。糸端をライターで炙ってとかし、ほつれ止めにする方法もありますが、革が焦げる恐れもあるのであまりおすすめできません」
詳しい方法はイラストを参照。革小物も男女もほつれは最小限にとどめるのが基本かも。
GANZO
小平陽介さん
メンテナンス達人
表参道のガンゾ本店に常駐し、修理からオーダーまで請け負う革職人歴20年のベテラン。趣味は革小物作りという根っからの職人。
[ビギン2018年1月号の記事を再構成]
写真/植野 淳 文/山田純貴 間中美希子 礒村真介 黒澤正人 スタイリング/佐々木 誠