アーミーツイル 多田周平さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #069
「100年愉しめるマダガスカルの“盆栽”」
アーミーツイル クリエイティブディレクター 多田周平さん
散歩がてら寄った花屋さんに、枯れ木にしか見えない植物が売られているのを見かけまして。曇天だったのもあってか哀愁のようなものを感じ、気づけば連れ帰っていました。オペルクリカリア パキプス──塊根植物の代表種で、7000円ほど。一目惚れでした。
枯れ木なら妻に怒られたところですが、暖かくなるにつれて無事芽吹いてくれたので一安心。塊根植物はウン十万円するものもあるので、お値打ちだったと思います。
生長すると水を溜め込む茎の根元が膨らみ、もっとずんぐりむっくりな堂々たる樹形になるようです。これぞ塊根植物の醍醐味という人もいます。
でも、もしならなくてもそれがこのコの個性なら、ボクは全然OKですけどね。葉と枝の“間”に漂う盆栽風な侘び寂び感も、パキプスという種のチャームポイントだと思いますから。
日差しを好むので、午前中は外に出して日光浴をさせています。指を土に挿して湿っていなければ水やりをして、害虫が葉に付けば爪楊枝で引っ掻いて取ってあげる。
世話をしたらしただけ、葉っぱの色艶がよくなったり枝が伸びたり、ちゃんと応えてくれるのが嬉しくて。毎日、生長を見守るのが楽しみで仕方がない。新芽も赤ちゃんみたいで本当にカワイイんです。
パキプスは生長が遅く、個体によっては100年ほど生きると聞きます。古時計の歌じゃないけど、一生添い遂げられたら幸せですね。
塊根植物
オペルクリカリア パキプス
乾燥地帯を生きるため、水を蓄える機構を発達させたコーデックス=塊根植物の人気品種。マダガスカル原産。寒くなると紅葉し、葉を落とす。価格は個体差あり。5500円〈実勢株、参考価格〉、鉢1980円(HANACHO)
アーミーツイル クリエイティブディレクター
多田周平(ただしゅうへい)
1988年生まれ。アパレルメーカーのモデリストを経て、2020年に米国の往年のブランド「アーミーツイル」の復活に際し現職に。自らパターンも引く。休日は世田谷エリアを散策がてら、HANACHOに足を運ぶ。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。