特集・連載
HOTな話の水先案内人・岩井祐二のひとり【情熱西陸】vol.4
「デザイナーと薬剤師。ふたつの顔を持つ福岡の新鋭」
『カジカジ』元編集長・岩井祐二の情熱西陸 関西の伝説的雑誌『カジカジ』の元編集長が、ウエストサイドのHOTなネタを“一人で写真を撮って原稿を書いて伝える”情熱連載! この記事は特集・連載「『カジカジ』元編集長・岩井祐二の情熱西陸」#04です。
福岡県【SHO NAGATA】
むかし誰だったか、結婚する相手と出会ったときに“ビビビッ”ときて、なんてコメントをワイドショーで目にしたことがありますが、洋服との出会いでもそんなことがあります。
古着店で予期せぬものに出会い、“買って帰らなければいけない”衝動に駆られたり、雑貨店の隅に忘れられたように佇んでいる置物を“連れて帰らなければ”と親心が芽生えたり。
今回紹介させていただく「SHO NAGATA」との出会いは、以前当連載でも紹介した福岡のお店「パーク」でのこと。
ある雨の日、イベントに遊びに来たデザイナーさんは、傘もささずに自転車で現れたのですが、そのとき着ていたジャケットに一瞬にして目を奪われ、どこのだろう、と聞くと、自身で手掛けるブランドの服だと。
自転車乗りにフィットする立体的な作りになった一着で、その美しさと不意に訪れた“ビビビッ”感がずっと忘れられず、自分の店「IMA:ZINE」のディレクターである谷に「おもろいブランドを見つけた」と展示会の案内を、嬉々として渡したことを今でも鮮明に覚えています。
彼のことを深掘りすると、洋服のブランドを展開しつつ“薬剤師”としての顔も持つと知り、アーティスティックななかにどこか幾何学的でロジカルなアプローチが垣間見られることに合点。
無骨ながら気品があり、上品だけど男臭い。薬剤師として袖を通す白衣のテーラリングや、薬の成分の構造式など、2つの顔が完全にシンクロしながら、オリジナルなコレクションを打ち出しているのです。
まだ無名に近い存在。でも僕の得た“ビビビッ”感は間違いなし。きっと、この花は大きく咲くことでしょう。
フランスのアール・デコ時代のホテルの一室からインスピレーションを受けたという今回のコレクション。その一部を抜粋。左から順に、プルオーバーシャツ 2万4200円、ブルゾン 3万7400円、 4ポケットジャケット 5万2800円。
商品の問い合わせ先/インスタグラムアカウント @_shonagata
IMA:ZINE
岩井祐二さん
雑誌「カジカジ」の元編集長で、西側のコアなカルチャーを熟知した関才人。現在は、大阪を代表するセレクトショップ「イマジン」のボスだ。もちろん好きなプロ野球球団は、阪神タイガース。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年6月号の記事を再構成]写真と文/いわい イラスト/TOMOYA