作り手が語る「ただならぬ関係」“音”と“服”の蜜談#1 小林 学さん
“白シャツ”と“ジーンズ”、“ご飯”と“みそ汁”、“鬼”と“金棒”……。切っても切れない関係はこの世にゴマンと存在してますが、“音”と“服”もそんな黄金タッグのひとつ。偉大なアーティストたちがファッションにおいてもカリスマ性を発揮し、両者の垣根を限りなく低くしてくれたおかげで、今日までその蜜月ぶりが堅持されてるんです。ここでは当代きっての作り手の方々に、“音”と“服”への愛情をタップリ語っていただきます!
「あの“無計画感”はどんな服作りのプロも真似できない(笑)」
スロウガンデザイナー 小林 学さん
Profile
1966年生まれ。文化服装学院卒業後、フランスへ遊学。帰国後に服飾メーカーの企画を5年間務めた後、岡山県のデニム工場に転職。’98年に音楽等のサブカルチャーとファッションをリンクさせたスロウガンをスタート。
パンクスのDIY精神を服作りに反映させてます
三度の飯よりエルビス好きだった父の影響で、物心ついた頃から音楽に囲まれた生活を送っていた小林さん。
「中学生の頃は周りの影響でどっぷり“YAZAWA”にハマってたんですが(苦笑)、高校に入って運命の出会いを果たすんです。それがパンク! あの感情がむき出しになったような音に衝撃を受けて、もう大ハマり。スターリンやギズムといった国内バンドから、ダムドやピストルズといった海外勢まで、とにかく聴きまくりましたね」。
未だにパンクを聴きながら仕事することも多いという小林さんが、そこまでのめり込む理由は、パンクス特有のファッションセンスにもあるのだそう。
「全てはDIY精神から始まるんです。彼ら特有の周りの目なんか気にしない、衝動的な閃きにはどんな物作りのプロが計算してもかなわないでしょう。今私が着ている古着のウールシャツだって名もないパンクスのセルフカスタム。ワッペンの柄や位置に理由なんてない、俺式を貫いた結果です。私も年を重ねていろんな音楽を聴くようになりましたが、ファッションの根幹は常に彼らの閃きとDIY精神。スロウガンでスタジャンやライダースのカスタムオーダーを始めたのも、きっとそれが源流になっているのかもしれません」。
着て聴く音モノ
パンクスのDIY精神にも通じる!? カスタムライダース


スロウガンのカスタムライダースジャケット
イタリア製のカシミアやツイード、超希少なビキューナなど、約₆₀種類から自分好みの生地を選択してオーダー可能。アームも11色のシープレザーから選べる。写真はカシミア100%ボディ×ブラックシープモデル。12万円。
(問)ホワイト・スロウガン
TEL.03-3770-5931
https://www.slowgun.jp/
[私的音名品]伝説的ライブハウスの同窓会的DVD
「これは2006年に閉鎖されたNYのライブハウス“CBGB”が、2003年に出した希少品。ここから巣立っていった大物から名もなき連中まで、ハードコア・パンクバンドが同窓会よろしく一堂に会してる、超豪華版です」
※表示価格は税抜き
[ビギン2017年12月号の記事を再構成]
写真/上野 敦 船元愛美(プルミエジュアン) 河野敦樹 文/礒村真介 黒澤正人 押条良太(押条事務所) トロピカル松村 宮嶋将良(POW-DER) スタイリング/佐々木 誠 近藤有倫