ラグビー日本代表、23年W杯開催国フランスと7月国内で2連戦!今秋は強豪イングランドと敵地で対戦
今年1月に開幕したジャパンラグビー リーグワン(以下、リーグワン)は早くも中盤戦に突入。2月27日(土)にはリーグ屈指の大一番、埼玉ワイルドナイツ対東京サンゴリアスの一戦が埼玉・熊谷ラグビー場で行われた。
昨年ラストイヤーを迎えたジャパンラグビー トップリーグのプレーオフトーナメント(兼日本選手権)決勝で激突した日本ラグビー界の両雄の再戦は、日本テレビで生中継されるなど多くのファンの関心を集めた。結果は前回の対戦、すなわち昨季決勝を制した「最後のトップリーグ王者」ワイルドナイツが今回も勝利を収めた(34-17)。新型コロナウイルス感染の影響で開幕から2試合中止を余儀なくされたワイルドナイツは順位を4位まで上げ、首位をひた走っていたサンゴリアスは2位に後退した。日本の頂上決戦と呼ぶにふさわしい豪華なカードは、リーグ戦の上位4チームによるプレーオフで再び相まみえる可能性が高い。そう感じさせられるハイレベルな好ゲームだった。
この試合の両チーム計46名の登録選手のうち、実に17名が昨秋の日本代表欧州遠征メンバーだった。再びジャパンの桜のジャージーに袖を通すことになりそうなプロップ稲垣啓太、フッカー坂手淳史、スタンドオフ松田力也、センターのディラン・ライリー(以上、埼玉ワイルドナイツ)、スクラムハーフ流大と齋藤直人、センター中村亮土、ウイング兼センター中野将伍(以上、東京サンゴリアス)といったトッププレイヤーにとって、5月のリーグワン終了後に大きなターゲットとなるのが今夏のテストマッチ(他国代表との公式戦)だ。

このほど日本ラグビー協会は、今夏フランス代表が来日し7月2日(土)と9日(土)に日本代表と対戦することを発表した。「リポビタンDチャレンジカップ 2022」と銘打たれる2連戦は、1戦目が愛知・豊田スタジアムで開催され、2戦目については会場調整中とのことだが、2月28日現在(以下同)世界ランキング3位で、ラグビーワールドカップ2023のホスト国を務める強豪を迎えるにふさわしいスタジアムで開催されることになるだろう。
日本ラグビー協会の森重隆会長はフランス代表の来日を大いに歓迎している(コメントは一部抜粋)。
「フランス代表は、ラグビー欧州6カ国対抗戦においてスピード、パワーを自由自在に発揮し、目覚ましい活躍をしております。2 年以上に及ぶ新型コロナウイルス感染症の拡大によって、世界中の多くの方々が大変な困難に直面しています。ラグビーばかりでなく、すぐに触れられる場所にあったスポーツが、少し遠ざかってしまったように感じているラグビーファン、スポーツファンの方々も多いことと思いますが、いよいよ 2023 年にはフランスでラグビーワールドカップが開催されます。日本ラグビー協会は、7 月の国際試合『リポビタンDチャレンジカップ 2022』を通じて、ラグビーワールドカップ 2019 日本大会のあの熱狂と興奮を、再び多くのファンの皆様と共に世界へお届けすることに全力を尽くします」
また、フランスラグビー協会の会長で、かつてヘッドコーチとしてフランス代表を率いたベルナール・ラポルト氏はこのように語っている。
「日本は今やラグビー大国です。前回のラグビーワールドカップ(2019年の日本大会)でのその活躍は、このチームが世界のトップと戦う力を示していました。フランスの 15 人制代表チームが夏の遠征で日本を訪れるのは初めてのことです。日本ラグビー協会、森重隆会長には私達を迎えていただけることに感謝し、両チームがピッチで会えることをうれしく思っています。ラグビーワールドカップ 2023 を控え、最も高い質を備えた相手と対戦することは非常に重要なことです」
過去のフランス代表との対戦成績は日本代表の0勝9敗1分け。2017年11月に初めてドローとなった試合以来の対戦となる。世界ランキング10位の日本代表にとっては、ホームという有利な条件下で是が非でも初勝利を目指したいところだ。
さらに、日本代表は今年11月12日(土)に世界ランキング4位のイングランド代表とも対戦することが決まっている。こちらは敵地、トゥイッケナム・スタジアム(ロンドン)での対戦となり、途中まで接戦を演じた2018年11月以来の激突となる。過去の対戦成績は日本代表の通算0勝9敗。ラグビーワールドカップ 2023で対戦することが決まっている「ラグビー発祥国」との前哨戦だけに、ジャパンにとって重要な意味を持つ一戦となる。

2月から3月にかけて開催中の欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」では、第3節終了時点でフランスが1位、イングランドが3位につけており、いずれも虎視眈々と優勝を狙っている。昨秋、フランスは世界ランキング2位のニュージーランドを、イングランドは同1位の南アフリカをそれぞれ撃破しているだけに、ワールドカップイヤー前年の今年は日本代表にとって意義のある試練の一年となりそうだ。
齋藤龍太郎
《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。
文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)