特集・連載
エンニチオンライン陶器市×Beginコラボ企画【欲しい器】
“無個性”こそ最大の武器! 美濃焼を自由に楽しむ仕掛け人 【美濃焼/ヤマキ林金之助商店】
【欲しい器】 この記事は特集・連載「【欲しい器】」#03です。
日本全国、焼き物の産地で開催されている陶器市。人気商品の販売のほか、お値打ち品から市場に出回らない実験作まで、マニアでなくても参加してみたくなる焼き物のお祭りです。そんな陶器市、今オンライン上で楽しめるってご存じですか?
地域共創型オンラインストア・エンニチが開催中の「オンライン陶器市 2020秋」。単品買いより20%前後お得になる「5000円セット市」や期間限定の割引商品を取り揃えた「今週の目玉商品」など、エンニチだけの企画が盛りだくさん! 今回は、有田焼・波佐見焼・美濃焼・小石原焼を取り揃え、通常では一度に回ることのできない4大産地の焼き物をまとめてチェックできるのです。
ただ……膨大な商品の中から好みのモノを探すのは、焼き物ビギナーにはヤヤ難しそう。
というワケで、ビギンが取材し、【欲しい器】をセレクトしました! 窯元から商社まで、全7社をピックアップ。“作り手から直接買える”という陶器市ならではの醍醐味をしっかりお届けします。日本全国、みんなの毎日が“笑ん日”になりますように。
第3回は、“無個性”こそ最大の武器! 岐阜県土岐市を拠点とする美濃焼の商社にインタビューを敢行!
【美濃焼】ヤマキ林金之助商店
多くの焼き物産地には、その焼き物を「売る」というポジションを担う「産地型商社」が存在しています。簡単にいうと、窯元と私たち買い手を繋いでくれるパイプ役といったところでしょうか。職人による渾身の力作を全国に向け発信、そして伝統産業を未来へ繋いでいく。場所も時代も超えて、地場産業を守り続けてきた陰の功労者です。
今回ご紹介する「ヤマキ林金之助商店」もそんな商社の一つ。半世紀以上にわたって、美濃焼の器を販売しています。4代目代表取締役、林 裕人さんにお話を伺いました。
100字でわかる【美濃焼】
岐阜県、東濃地方の一部に跨る地域で生産されている陶磁器。その起源は古墳時代から平安時代に作られた須恵器とされている。基本様式に黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部。食器類の生産量は全国シェアの約60%を占めている。
目指すのは「楽しい気分になれる食器」
「初代は私の曽祖父(金之助)です。地元の人を中心に美濃焼を販売していました。なかには、自分で絵付けをした食器もあったと聞いています」
創業はテレビ放送が始まった翌年の1954年。ちなみに、マリリン・モンローが初来日した年でもあります。「初代は柔軟な発想の持ち主で、新しいものが好きな人でしたね」と昔のエピソードを交えながら話してくれました。
そんな初代の気質をしっかり受け継がれた林さん。いわゆる商社らしい、量販店への卸も行いつつ自社企画のオリジナル食器も展開中です。
「美濃焼は特徴がないのが特徴です。職人さんの技術は確かなので、思い描いたものを自由に作ってもらえます。そんな中で、ちょっと他にはない、使っていて楽しいと感じられるような食器を開発中です。日常生活の中からヒントをもらいつつ、デザインには自分なりの遊び心も加えています」
型があるからこその型破り。それでなくてはただの型なしです。幼い頃から美濃焼に触れ、その歴史を熟知しているからこそ、林さんは美濃焼の新しい形を私たちに提案し続けていけるのでしょう。
Begin’s Select①
しずる冷酒器セット
大正10年創業の「小兵窯」の酒器セット。使い方は上の写真の通り。日本酒は片口に注ぎます。升酒よろしく、あふれ出た日本酒は盃へと注がれます。容量ぴったり1合分。また特徴的な、うっすら銀色がかったボディの色は、オリジナルの釉薬“銀黒”を二度掛けするという一手間から生まれるものです。
真っ黒じゃない! 和食器とも好相性
【選定理由】酒好きが色めき立った! これぞ升酒の進化系!
「徳利の小兵」という異名を持つ小兵窯。昭和の時代には徳利の生産量世界一、その数、年間160万本! 今も酒器への思い入れは特別です。そんな情報を踏まえると、使ってみたいと思うのが酒呑みの性。何よりこのアイデアが面白い。「新しいね!」と酒の席も盛り上がるに違いありません(笑)。柔らかい飲み口が特徴の土岐市の地酒“千古乃岩 上撰”なんかどうでしょう! 温める程度なら電子レンジも使用できるので、寒くなるこれからの時季にもよさそうです♪
(税込2530円/冷酒器:H7×D9×φ8cm/135g/130ml、盃:H3.5×φ5.8cm/42g/50ml、受皿:H2.2×φ15cm/245g)
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Begin’s Select②
漢の飯碗&コップ
「完全に私の趣味です。40代くらいの男性が好きなんじゃないかと。着想は少年漫画です」と話す林さん。インパクト大な“最強”と“無敵”の文字は書道家によるもの。漢たるもの妥協はしない、本格仕様のデザインです。それを地厚でぽってりとした器にプリント。表面はやや凸凹しており、その無骨さをさらにUPさせています。
裏底には“漢”の文字が!
【選定理由】食欲がなくても、漢気復活でご飯も進みそう!
在宅勤務で一日中デスクにかじり付いてる人も少なくないはず。動いてないから食欲もないし、横腹の贅肉も気になります。しかし!適度にご飯を食べないと明日への活力が湧きません! この飯碗×コップの文字を見たらモリモリ美味しく食事ができそうでしょ?(笑)。食後は漢気復活で、気づいたらランシューに足を突っ込んでいるかもしれませんよ♪(通常価格から31%OFF/茶碗:税込1650円、コップ:税込1250円)
編集後記
実際に茶碗とコップを購入してイメージカットを撮影。オフィス近くで海鮮丼をテイクアウトして盛り付けました。撮影、ちょうど昼時だったんです。そのあまりの映えっぷりにお腹がグ〜。まるでカウンター式の寿司店で出てきそうな面構えだと思いませんか? 器の白が刺身の赤みをうまく引き立てています。最高のマッチング!
まだ撮影の予定もあるから後で食べるか……とラップをしてハッとしました。ラップの張り付きが超イイ! 陶器や表面がザラザラした器だと、うまく食器にくっつかないことがあるんですよね。撮影後、その使い勝手のよさをさらに実感した次第です。美味しくいただき、食洗機へgo! ごちそうさまでした!!
写真/丸益功紀 文/妹尾龍都