特集・連載
“着心地が柔らかい”のと“タフだから長く愛せる”吊り裏毛こそ一生モノに相応しい
買いのスウェット大図鑑 スウェットはジーンズと並ぶ服好きのインフラ。でもその成り立ちや備わってる意匠の役割は意外と知らないんじゃありません? “買い”かどうかを見定める羅針盤として、またウィットに富んだスウェットークに花を咲かせるあんちょことして……。必至にならずとも、たった一晩で賢くなれちゃう♪重大な10ネタをお届けします。 この記事は特集・連載「買いのスウェット大図鑑」#06です。
“柔らかくてタフ”だからずっと付き合える♡
ループウィラーの功績によって“希少”から“定番”へとポジションチェンジした吊り編みスウェット。雑誌やネット、お店でも頻繁に目にしますが、何がどう優れているのかハッキリ答えられなきゃ、到底スウェット好きは名乗れませんよ。
ってことで整理しとくと、要は“着心地が柔らかい”のと“タフだから長く愛せる”ってのが、吊り編みスウェットの利点。これは’60年代中頃まで主流だった旧式吊り編み機を使い1時間に約1mのスピードでゆっくり編まれた生地を使っているからこそ。
糸に余計なテンションがかかってない吊り裏毛生地は、ふっくら嵩高で引き裂き強度も抜群。だから洗濯を繰り返しても型崩れしにくく、着込むほどに体に馴染んでくれる。
長く愛せる=自分仕様に育てられるってのも、吊り裏毛生地を使ったスウェットが一生モノたる所以なんです。
LOOPWHEELER[ループウィラー]
LW01 クルーネック スウェットシャツ
表・中・裏糸にそれぞれ30・30・6番手の糸を採用した、同社の最定番スウェット。もっちりした風合いはまさにディス・イズ・吊り裏毛! 1万6000円。(ループウィラー千駄ヶ谷)



新旧2大編み機も要CHECK
吊り編み機以外にも、当然生地作りのマシンは存在。ここでは新旧2大編み機にフィーチャー。スウェット好きなら覚えといて損なし。
シンカー編み機
[現在最大派閥を築いている高速丸編み機]
現在では、速度等をコンピューター制御されたシンカー編み機という高速丸編み機が主流。近年作られたスウェット生地は、ほぼこの機械で編まれたもの。
トンプキン編み機
[吊り編み機と並ぶ古きよき編み機は今では幻の存在に]
吊り編み機が生地を上から下に編み上げるのに対し、重力に反して下から上へと編み上げていく旧式編み機。今ではほぼ使われることのない幻の編み機だ。
「莫大小なやっちゃなカナ~」と言われないようにね♡
莫大小は“メリヤス”と読むんですが、これは裏毛だけでなく、天竺やインレイなどを含む、丸編みものの総称。
靴下を指すスペイン語の“メディアス”や、ポルトガル語の“メイヤス”が変化したそうなんですが、かつて和歌山などのメリヤス産地では漢字のまま“ばくだいしょう”と呼ばれていました。
これはメリヤス地が自由に伸び縮みする=大も小もないことから名付けられたそうで、それが転じ、同産地では“いい加減なヤツ”という意味でも使われていたそう。
様々な情報を集めて編み、皆様にお届けするビギンも、「莫大小なやっちゃな~」と言われないようにこれからも精進します!
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。