素材も仕立ても最上級。何十年先も、おじいさんになっても着られるトレンチコート
選りすぐりの“服飾博士”なデザイナーに、「これぞ10年選手」たるアウター自薦を依頼。ついついこだわって、作り込みすぎてしまった!?力こぶの数々を、手紙にしたためるかのように独白してもらいました! 今回はテクストのデザイナー、石川俊介さんイチオシのアウターと制作秘話をご紹介。
TEXT[テクスト]
シングルトレンチコート
糸の紡績から生地作り、縫製まで職人と二人三脚で作り上げた力作。衿は折り畳むことで、ステンカラーとスタンドカラーの2通りで楽しめる。9万4000円。(エグジステンス)


デザイナー直筆メッセージ
テクスト デザイナー
石川俊介
1969年生まれ。兵庫県出身。2002年に“マーカ”を立ち上げ、2009年から“マーカウェア”を加え2ブランドを展開。日本製にこだわる下地を活かし、今季から“テクスト”を始動。
携わるすべての人の顔が見える服を作りたい。そう考えて今季からテクストというブランドをスタートさせました。自分が本当に着たい服を、自分が信頼する職人さんたちと一緒に作りたいな、と。このコートはその理想形。
全工程をその道の一流とタッグを組み、妥協せず作り上げました。まずは素材。目指したのはヴィンテージのトレンチにも使われている本物のギャバジン。ドレープが美しく出る80番手の糸を作るため、細番手が引けるインドの超長綿を選び、国内の工場で紡績してもらいました。
出来上がった糸は先染めしてガス焼き。この工程を経ることで発色も光沢も美しい生地に仕上げられるんです。織ってもらったのは静岡県掛川市の老舗カネタ織物。古いシャトル織機を使って高密度に織られた生地には、本物のギャバジンにしかないハリとドレープが!
狙い通り仕上がった生地を、今度は青森県七戸十和田にある国内屈指の実力派ファクトリー、サンヨーソーイングで縫製。コバのキワキワを精緻に縫い上げてもらえたおかげで想像以上にエレガントに仕上がりました。
素材と仕立てでオーセンティックを極めた分、デザインはほんのりユニークに。緩めのシルエットに設計しつつ、衿を折り込むことでステンカラーとスタンドカラーの2wayとなる仕様にアレンジしました。
素材も仕立ても最上級で飽きずに着られるギミックもある。10年先どころか、おじいさんになっても着られるコートになったと自負しています。
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。